「空いてる?」
大野の店のドアを開けると同時に
声を掛けると
「お、珍しいな。」
ふにゃっと笑った大野が席を指差す。
松本と上着を脱いで座ると
「なかなか時間が合わなくてさ。」
「そうなんだよ、今日なんて奇跡に近い。」
カウンター越しにおしぼりを渡しながら
大野が
「松本が来たのなんて何時ぶりだ?」
なぁって言いながらおれを見るから
「忘れるくらい前なんじゃね?」
そう返してやった。
それを聞いて松本は
「そうだったかなぁ。まぁいいじゃん。」
目の前に置かれたビール瓶を掴むと
おれのグラスに注いだ。
カチンとグラスを合わせてグイッと飲み干し
「「くぅ〜。仕事後のビールはうまい!」」
ふたり、声を合わて言うと思わず笑顔になる。
今度はおれが松本のグラスにビールを注ぐと
「そういえばさ、同窓会のハガキ着た?」
松本が話を振ってきた。
つづく…