新型コロナパンデミックが起きて1年。

そろそろ、世界ではなく我が国の状況を落ち着いて見つめ直すべき時期だろう。

世界の状況と、我が国の状況は大きく異なるからだ。

 

1.罹患率がとにかく低い。

 

下記は年代別の罹患率。1年経ってみて、

・1年間の総数と罹患率

 累計罹患者数が44万2393人(厚労省データ・2021/3/13まで)。

日本の総人口1億2562万人(総務省2021年2月概算値)中、感染したのは0.35%。1000人に3人。

 

・2021年における1日あたりの罹患率

 2021年1月1日〜3月13日までの累計陽性者数は20万8608人。一日平均2897人。総人口中感染したのは0.002%。10万人に2人。

 

・年代別罹患率

 世代別の累計罹患者数(厚労省データ2021/3/10)のパーセンテージ。

最も多い20代でも1年間通して1%にも満たない罹患率。後記のとおり、発症率は約5割なので、実際に発症する方は以下の数字の半分程度。

 

 

 

 

2.無症状率は約5割

 

厚労省が積み上げデータを出していないので、少し古いデータで恐縮だが、昨年私の事務所で厚労省が4ヶ月毎に出しているデータを積算したところによると、罹患率が低い上に無症状で済んでしまう割合は全年齢平均で約5割。

10歳未満は65.6%が無症状。年齢を経るごとに徐々に上がっていくが全年齢平均で約5割、48.4%が無症状。

仮に罹患したとしても、高齢者層以外はなかなか重症化はしないし、30代までは死亡することはほとんどない。なお、20代・30代で死亡した方はおられるが極めて少数のためパーセンテージは0.0以下となっている。

 

 

 

 

3.40代以下はほぼ死なず、重症化もしない。

 40代以下の世代(10歳ごとに区分)の罹患率は、1年間通しで、0.13%〜0.75%。

 罹患する可能性が低いので、新型コロナ感染で死亡する確率もかなり低い。

 以下は、1年間を通して、各年代における新型コロナに罹患して死亡する確率(つまり感染しなかった方を含めてその年代に属する全人口が母数)を示したもの。罹患した方が亡くなられる割合を示す致死率ではないことに注意。

 

 

残念ながら人は死からは逃れられない。その現実にシビアに直面せざるを得ない70代、80代であっても、罹患率がそもそも低いので新型コロナで死亡する確率は極めて低い。70代で0.01%(1万人に1人)、80代で0.04%(1万人に4人)。

 

4.結論 日本においては、医療体制さえ整えておけば、人生や仕事、社会生活を犠牲にしてまで押さえ込まなければならない感染症という評価にはならない

 

いかがだろう。数字を前にすると、マスコミや一部の感染症専門医の虚像に踊らされていたことに驚く方も多いのではないだろうか?

70代でさえ1万人に1人しか亡くなることのないこの感染症を、日本中がここまで恐れて社会生活を抑制するのはいくらなんでも均衡を欠くだろう。

欧米では、日本の10倍以上の陽性者数、死亡者数なので、各国とも社会生活を犠牲にしてでも抑制に躍起なのは理解しうる。

しかし、日本の状況で、リスクは本来ほとんどない若者の楽しみを奪い、サービス産業に壊滅的打撃を与えるような社会的距離制限政策=緊急事態宣言を取る必要はない。

 

当初、右も左もわからない状況に国が、国民が、そして医療機関が怯え、この感染症と距離を置こうとしたことはやむを得なかっただろう。

だが、感染防止のノウハウも確立され、対症療法も進歩し、感染防御用品の不足も解消された今、この罹患率・新規陽性者数に過ぎない日本が、医療崩壊の懸念をいつまでも口にしているのは正直情けない。

 

昨日、NHKが回復した高齢の入院患者を介護老人保健施設の半数近く(1600にも上る)が受け入れることを表明したとのニュースが流れた。

前掲のグラフを見ればわかるとおり、重症入院患者のほとんどは高齢者。介護の問題を抱えている方が多く、急性期医療の現場では痴呆症の方などのケアのノウハウもないため、回復に向かった場合に介護が大変な苦労になっていて、受け入れ数を制限せざるを得ない一因とも聞く。したがって、素晴らしい取り組みだ。

厚労省も介護報酬を加算するなどの支援策を打ち出しているという。

 

こうした工夫を積み重ね、国民に不自由をさせる社会的距離政策を回避することこそ、本当の政策ではないか?

 

最後に率直に指摘する。

感染症専門家の方々は、それがご自身の仕事であるが故に感染症を限りなくゼロに近づけることを優先した意見を具申される。それはそれで正当。しかし、世の中はそれだけで成り立っている訳ではない。

民間部門が多い医療界は、採算や風評、慢性的に不足気味の医療従事者の意向を気にせざるを得ないし、その声を背景に日本医師会会長は、医療界の都合を叫び続ける。また、マスコミは、新型コロナの新規陽性者数を伝えるだけでニュースが出来上がり、時折「後遺症」やら「変異株」やらのスパイスを混ぜれば安直に視聴率も話題も稼げる。

そして野党は、陽性者が増えた、医療が逼迫している、政府は無策だ、と叫べばマスコミが快哉を叫び、マスコミによって「新型コロナは恐怖の感染症」との先入観を植え付けられた一部の国民は同調する。

 

 

しかし、それで国民は幸福になるのか?

新型コロナで死亡することはほぼ考えられない女性や若い世代の自殺者が増え続けていることから目を背けて良いのか?

懸命に働いて世の中に楽しみを与えてくれる飲食店を始めとするサービス産業や関連産業を軒並み苦境に陥いらせる政策を継続するのか?

政府は、日本における新型コロナウイルスの実態を、正面から見据えて、野党やマスコミの雑音は排除し、正しい政策を執り行うべきだ。

 

具体的には、次の施策。社会的距離政策(緊急事態宣言)は、これらをやり尽くしてからというのが当たり前の順番だ。

・病院間や老人保健施設との連携をより強固にして、医療体制を拡充させること

・感染防止対策は高齢者への感染防止対策に重点を置く。特に介護施設・慢性期病院への徹底した検疫(高齢者を孤独にさせる隔離ではなく、検疫に比重を置くべき)

・初期診療の充実=隔離から治療へ。イベルメクチン、デキサメタゾンなど重症化を防ぐ投薬の促進