新型コロナウイルスパンデミックが起きてから1年が経過した。

相変わらず、日本全体にこの疾患が重くのしかかり、すべての人の自由は制限され、あらゆる産業に重い足枷が掛けられたままだ。

 

しかし、この疾患に対して、本当に現状の対応や評価は妥当なのだろうか。

当然その評価が必要となるため、最も基礎となるこの1年間の陽性者数と死者数を年代別にまとめて分析してみた。

なお、下記表での死亡率とは、新型コロナに罹患した方においてどのくらいの方が亡くなるかという数字(これを致死率という)ではなく、その年代の全部の人数(つまりコロナにかかった方もかからない方も全部含めた人数)の内、どのくらいの割合の方が新型コロナで亡くなっているのか、という数字なので注意されたい。

 

上記表によれば、

 

・10代未満963万人中コロナにかかったものは0.1%、その年代でコロナで死亡する可能性は0%。

・10代1099万人中コロナにかかった者は0.2%、その年代でコロナで死亡する可能性は0%

・20代1263万人中コロナにかかった者は0.7%、その年代でコロナで死亡する可能性は0.000002%

 

一方で、

・70代1639万人中コロナにかかった者は0.2%、その年代でコロナで死亡する可能性は0.009%、

・80代1169万人中コロナにかかった者は0.3%、その年代でコロナで死亡する可能性は0.034%、

 

 

つまり、新型コロナにかかった方は20代を除いては1000人に1~4人程度、もっとも多い20代でも1000人に7人しかいない。

死亡に関しても、40代までは新型で死ぬ確率はほぼゼロに等しく、70代でも1万人に1人にとどかず、80代でも1万人に3人程度。

そして、残念ながら平均余命に照らしてみれば80代ともなれば残りの9997人もやがていずれかの疾患での死が待ち構えている年齢だ。

 

つまり、どの年代を通しても、新型コロナに罹患することは比較的稀、そして若い世代にとっては死亡することはほぼ考えられない疾患であり、余命が限られてくる後期高齢者世代にとってもこの疾患で死亡する機会は比較的少ない疾患と言えるのだ。

 

この数字を見て、いつまでこの大騒ぎを続けるのか疑問を抱くのは私だけだろうか?

新型コロナに恐怖を覚えておられた方も、その意外な実態に、あれ?と思われないだろうか。

 

もう一つ、別の切り口で考えてみる。

今始まろうとしているワクチン接種。諸外国でも日本でも新型コロナ対策に対する切り札とも考えている方は多いだろう。

その効果は海外における治験によれば最高95%程度と見込まれている。つまり、陽性者全員がワクチン接種していたとしても、その95%の減少が最大効果。

最初に接種が始まったアメリカの2月10日時点での陽性者数累計は、2789万9240人。

これが5%にまで減ったとして139万4962人。人口100万人あたり4202人だ。

日本の同じ日までの累計は39万8989人。人口100万人あたり3167人だ。

 

既に、日本はアメリカの全人口にワクチン接種したのと同じ結果を得ていることになる。日本は慌てずとも、既に欧米でワクチンを全人口に接種したと同等の結果を得ているのだ。

 

これでもまだ、何を騒ごうとしているのか?ZEROコロナや、「限界まで押さえ込む」政策が必要なのか?普通に考えれば否であろう。

 

 

日本におけるこの騒動の原因は、明らかに政府の計画性の欠如、並びに医療機関の柔軟性と対応力の欠如にある。

 

日本の医療体制は地域医療計画と呼ばれる大枠に沿って進められるのだが、そこにそもそもこういった突発的なパンデミックに対する対応は欠片も考慮されていなかった。

国の医療計画にあったのは、「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患」の5疾病と、「救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療」の5事業だけで、「感染症のパンデミック」は想定すらされていなかった。

プレート境界型巨大地震や、原発事故と同様の構図だ。

 

したがって、それに対応する病床数の計画もまったくなされていなかった。

ドイツが、日本の感染症研究所にあたるロベルト・コッホ研究所が2012年に作成したパンデミック・シナリオに沿って、着々と備えてきたのとは対照的だ。

 

 

 

この計画をみれば一目瞭然、病床数縮小や再編ばかりに目が行き、いざというときの柔軟な医療体制作りなど誰も考えてこなかったのだ。

 

さらに悪いことに、新型コロナパンデミックが起きてからでさえ、これに対応できる医療体制の構築にはほとんど誰も手を付けようとしなかった。春先を思い出してほしい。37.5℃の発熱が4日間続かなければ医者に行っては行けない、とされていたが、あれはただの医療機関のパンクを防ぐための受診抑制政策。

そして、昨年末に至ってさえ医療逼迫だの医療崩壊だの大騒ぎが続いていたが、要は従前考えたこともないことが起きてしまっただけでなく、1年近くが過ぎてもその対処がなされてこなかったので、対応できない患者を減らすという最も簡単な方法をとろうと国民への威嚇が続けられたのだ。

 

政府だけの責任ではもちろんない。

大阪府吉村知事が民間病院に協力を求めても病院側はにべもなく断り、一方では日本医師会長らは、病院体制には手も付けようとはせず、「医療が日本で一番大切な産業」と臆面もなく叫んで、国民への自粛を声高に叫ぶばかり。


さて、そろそろまとめよう。

ここまで読めば誰もがおわかりの通り、日本における新型コロナウイルスパンデミックは、全産業、全国民を経済的に追い込んでまでその根絶を図らなければならないような感染症では無い。そのことは1年間トータルでの罹患者数・死者数・死亡率にハッキリと示されている。

 

問題とすべき、対処すべきは、この未知の感染症への対応や態勢作りが遅れていた医療システムの立て直しだ。よく知られているように、日本の病床数、医師数は世界でもトップクラス。有事の医療体制さえ構築されれば、実は欧米でワクチンを全国民に接種したような状態である今の日本にとっては、医療体制にゆとりをもたせるための社会的距離政策(この緩い版が日本の緊急事態宣言)は最小限に抑えることができるはずだ。

 

マスコミも国民も、そして新型コロナウイルスパンデミックを政争の具に利用している野党も、そろそろ目を覚まして、現実をみるべきだ。