前記事の続きになります。

 

 

 

 河瀬直美は「あん」という自身の作品の中で元ハンセン病患者の老女として樹木希林さんを起用しています。この老女の名前が徳江で、ハンセン病施設から桜の木の下の付近にある手書きの応募を店先出し、繁盛していない「どら焼き」屋を訪ね、雇われ店長に職を求めるところから話しは展開して行きます。雇われの店長の名前は千太郎(永瀬正敏)で、最初は老女の応募を断りますが、老女が店に持参した長期に亘って腕を奮って作った「あん」を一口、口にして、驚き老女の雇用を決めます。おりしも時は桜の花が咲き始める時期の事でした。それから、徳江は自分が長年、考えて作った「あん」の作り方を千太郎に仕込むのです。

 そして、その「あん」を使用した「どら焼き」を売り始めると、評判になり、女子中学生などの常連客も増え店は繁盛してゆくという展開になりますが、ここからが、問題の話しが展開してゆきます。

 

 このどら焼き屋のオーナーの演 (浅田美代子)が徳江の事をハンセン病だと言い触らし始める事から、店から客が遠ざかるようになってゆくのです。

 

 そして、徳江もその事を知り、店を去る決意をして、そして、最後に「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた....」というセリフを残し、散る桜の花の下から店を後にするのです。

 

 まさに、最後のセリフは戦中の特攻兵の最後の言葉ではありませんか?そして、桜が散るという展開構成は、、、どこから考え出されたものなのでしょうか?ちなみにドイツナチスにおいては、このような、身体障碍者は真っ先に収容所送りでガス室で処刑されたのです。

(つづく

 

2022年1月19日

船橋市海神:弓場清孝