先ほどまで、「かむろてつ」さんたち、「新自由主義を拒否する!市民連合」の人たちの官邸前抗議を視聴させてもらっていたら、郵政民営化の話題も発言されていた。

 郵政民営化と言えば小泉純一郎前総理で、私の知人が次のように書かれている。

 「自宅を出て旧甲州街道を東にしばらく行くと小さなペットショップがあって、金魚や熱帯魚を売っている。私はそこを目指して出発した。途中、二年ほど前に完成した巨大なゲーテッドマンションがある。建設前にあった樹木を残したのだろう。太い欅の木を丸く囲んで美しく整備された門の外にベンチがあり、散歩で疲れた人や近くのバス停でバスを待つ人も座ることができるようになっている。その日はそこに、明らかにホームレスとわかる格好のおじさんが寝そべっていた。私はふと、このマンションが建つ前はこの場所に区の公団があったことを思い出した。古いタイプの公団らしく、一軒屋がいくつも連なって、緑も豊かだった。まさか、自治体の持ち物が民間にわたり、さらにゲーテッドマンションになろうとは当時は思いもしなかった。自治体の土地はいつまでも自治体のもの、そんな風に思い込んでいた。

 それをぶち壊したのが小泉純一郎さんで、小泉さんがぶち壊したのは郵政だけではなかったのだ。と思い知ったのは、あとから住宅問題についての本を読んでからのことだった。『官から民』へ。威勢よくキャッチーなフレーズなもと、二〇〇〇年代、公団の新規建設はにぶり、そもそもあった公団の多くも取り壊され、そのまま民間に渡った。そこに福祉の視点はない。姿を変えて公を代表してるかにみえるUR賃貸の家賃は十二分に高いし、かつてなら公団に入れた層が住いに困る社会になった。ゲーテッドマンションの玄関、タクシーが通勤する人を待つ横で、ホームレスが美しく整備されたベンチに横たわっている。これが二〇一三年の風景だ。私は勉強不足だった自分を棚に上げて、良く思う。誰かこれを止められなかったのだろうか。誰かこういう社会を想像し、警鐘を鳴らす人は?人間的な良心と知性を兼ね備える人は?もちろん、学者やジャーナリストはいただろう。でも、もっと決定的に公の場で公のことを決めて処理していく人びとは?彼らに最低限の良心といくらかの想像力を求めることは、そんなに夢みたいなことだろうか?」(ここまで)

 ところで、先日も書いたが私の住む船橋では駅前に40階以上の高層マンションと別棟で、現在、駅前から6,7分の場所にある公共施設である文化ホールと公民館を「廃止」して、この別棟に移転する計画が持ち上がっている。おそらく民間に任すということだろうが、低所得者層の人には利用させないというようなことにもなり兼ねないし、利用にも制限がかかることも予想されるだろう・・。

 

 2018年12月30日

船橋市海神:弓場清孝