明日12月30日にTPP11(包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定)が発効されてしまいます。この協定文の構造は複雑ですが、元のTPPの協定文を「組み込む」ことを規定しています。そして米国離脱後の11カ国の交渉で各国が求めた22の「凍結項目」をあげていて、発効要件もTPPより簡素化し、「6カ国が批准すれば発効する」としていて、元のTPP協定は、国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占める6カ国以上の合意で発効することになっていました。米国と日本でGDPの8割近くを占めており、両国ともが批准しなければ発効は不可能であり、トランプの離脱宣言でTPP協定は破棄となるはずでしたが、安倍政権・与党は破綻寸前のTPPを丸ごと呑み、新協定TPP11を主導し、発効を急いできました。

 協定の内容について、首相官邸のホームページでは「TPP協定は、アジア太平洋地域において、モノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進め、さらに知的財産、金融サービス、電子商取引、国有企業の規律など幅広い分野で21世紀型のルールを構築する」ものだと説明していますが、https://www.kantei.go.jp/jp/headline/tpp2015.html

 関税に関しては原則撤廃で、すべての農産物が関税撤廃の対象となり、日本では農業を先頭に、食料自給率が現在(38%)以上に低下し、独立国とはいえない事態になると警鐘を鳴らし反対運動が広がっています。TPPに関する国会決議では、重要五品目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)については関税の撤廃・削減はしないことを要求していましたが。政府はこの決議に反して重要五品目の29%(170品目)で関税撤廃に合意し、重要五品目以外では98%の品目で関税撤廃を認めました。

 漁業に関しては、TPP協定の第二〇章「環境」のなかで、「乱獲や過剰な漁獲能力に寄与する補助金」を規制し、削減・撤廃しなければならないとしていて、漁港の整備や燃料への補助金支給、漁船をつくるための低利な融資などが槍玉にあがる可能性が出てきています。また、第一〇章「国境を越えるサービス」にかかわって、外資系水産会社が漁業権に入札できるようになるなり、魚介類の輸入上限を定め、それ以上の輸入を禁じる制度=IQ制度が廃止されることでの漁業への打撃もさらに大きくなり、関税も昆布を除いて即時撤廃、または16年かけて撤廃されることになります。とりあえず、今日はここまでにしますが、今回のTPP11はあらゆる分野に打撃を与えます。TPPがチャンスだというのはグローバル企業の経営陣にとっての話で、TPPで国民の仕事を増やし賃金を引き上げることは困難で例えば原発なども、脱原発も危うくなります。昨夕、TPPにも反対されている「かむろてつ」さんが、外務省前の抗議から急遽、原発反対の最終回の「希望のエリア」に移動され声を上げておられます。

 

 

 

 

 2018年12月29日

 船橋市海神:弓場清孝