昨日5月4日の朝日新聞の社説に村山知博氏が書かれた「原発とハインリッヒの法則」という記事が書かれてあり興味深く読んだ。東京新聞の原発記事は、ある程度は眼を通すが朝日新聞の原発記事は「プロメテウスの罠」以来だろう。

     

 村山氏は私が働いていたこともある東京電力の柏崎刈羽原発の見学に最近行かれ、案内役の東電社員に「長いこと運転できないままで、発電所内の士気が落ちているのでは?」など少々いじわるな質問をされたそうだ。すると案内役の社員は「士気は大丈夫ですが、長期にわたる運転停止はリスクです」と応じている。さらに、「従業員のスキルが落ちる恐れがあるため、施設内で訓練を重ねているほか、運転中の火力発電所に場所を移して研究したり、海外の同型原発に社員を派遣したりしている・・」と応えている。

 では、どうして最近になって強風で外壁が剥がれたり、トラブルや事故が多発しているのか。

また、2月には6、7号機の重大事故時の排気設備「フィルター付きベント」が、地震で液状化が起きた場合にその影響で基礎を支えるくいが曲がるなど損傷する恐れがあることが9日、分かっている。

 こうしたことから、「従業員のスキル」問題は単なる机上の空論であり、現場のことは下請け任せが考えられる。

最後に村山氏は「ハインリッヒの法則」として「一つの重大事故の背後には29件の軽微な事故と300件の異常がある」リスクが潜むことをわすれないでほしい。」とまとめられている。東電柏崎刈羽原発は中越沖地震において大量の放射性物質を環境に出しながらも過酷事故は寸前で免れていることを国民も忘れてはならないと思う。

いかがであろうか

2018/5/5

元柏崎刈羽作業員:弓場清孝