タキオンは超光速で運動する。
特殊相対性理論では、タキオンは空間的な (space-like) 四元運動量および虚数の固有時を持つ粒子である。タキオンはエネルギー-運動量グラフの空間的な領域に制限され、光速以下の速度で運動することができない。
タキオンに対して、静止質量0で真空中を光速で運動する粒子をルクソン[5]、正の実数の静止質量を持ち(マッシヴであり)どんなに加速しても真空中の光速には達しない粒子をターディオンと呼ぶ[5]。
これらの語は、タキオンを議論する文脈においてのみ、タキオンとの対比として用いられる。
特殊相対性理論によれば、通常の物質(ターディオン)はどんなに加速しても光速に達することはない[5]。
それに対し、特殊相対性理論に反しないように仮定された超光速粒子であるタキオンは、以下のようなターディオンとは正反対の性質を持つ。
- ターディオンはどんなに加速しても光速を越えることはないが、タキオンはどんなに減速しても常に超光速であり光速以下になることはない。
- また、ターディオンがエネルギーを与えれば与えるほど加速していくのに対して、タキオンはエネルギーを失えば失うほど加速していく。
ターディオンとタキオンが干渉するような現象については、特殊相対性理論の原理である「いかなる慣性系でも物理現象が同じになる」という前提が崩れてしまうため、特殊相対性理論ではタキオンの性質を記述することはできない。
もしタキオンが光速より速い信号を送るために使われてきた従来の局所化可能な粒子であるなら、これは特殊相対論の因果律の破れを導く。
しかし場の量子論の枠組みでは、タキオンは現実の超光速粒子としてよりも、むしろ、系の不安定性を意味するものとして理解され、タキオン凝縮を用いて扱われる。
そして、そのような不安定性はタキオン場によって記述される。タキオン場は、ボゾン弦理論のような様々な理論内に現れる。
現在の広く受け入れられている粒子の概念によると、タキオン粒子は実在するものとして扱うには不安定すぎる[6]。
そのため、タキオンによる超光速通信や因果律の破れは場の量子論の枠組みにおいては不可能である。
タキオンが登場する架空の作品
- トゥモローランド - 過去と未来を見るモニターが受信する電波としてタキオンがでてくる。
- スタートレック - 一つの例として、ワープ航行の痕跡で時間と共に消滅。
- 宇宙戦艦ヤマト - 主要武器「艦首波動砲」、機関「波動エンジン」
- ドラえもん - タイムふろしきの内部の「タキオン織りこみゾーン」から「タキオンエネルギー」を放出。