クエーサー | しろグ

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昔は準恒星状電波源、略して準星と呼ばれていた摩訶不思議な天体。
長い間、謎の天体だったが、今でも謎めいている。

肉眼で見ることは出来ず、長い間、望遠鏡でも見ることは出来なかったが、望遠鏡の性能が上がるにつれて撮影出来ることとなった。強烈な電波として観測されていたので、“電波源”と呼ばれていた。現在では電波・赤外線・可視光・紫外線・X線・γ線のあらゆる電磁波で観測出来る。

可視光が観測されるとスペクトルが分析されたが、水素のスペクトル線が異常に赤方偏移していることが分かった。これはそれらの謎の天体が光速度の十~数十%の速度で遠ざかっているということで、それだけ遠くにあるということを意味していた。また、銀河系の1,000倍、太陽の10兆倍程度のエネルギーが極めて狭い範囲から放たれていることが分かっている。クエーサーの中心には超巨大質量のブラックホールがあるという説が最も有力で、その強大なエネルギーは、大質量ブラックホールを取り巻く降着円盤のガスや塵が中心に落ち込む時の摩擦によって生み出されていると考えられている。この過程では落ち込む質量の約50%をエネルギーに変換することが可能で、核融合によるエネルギー変換が質量の数%にとどまるのに比べて非常に変換効率が良いらしい。

Landscape and portrait ver. 2
 ※クエーサーのイメージ

現在最も明るいとされるクエーサーは、1年で太陽だと1,000個くらいに相当する質量を飲み込んでいるとされる。ただし、こんな大喰らいを何十億年も続けるわけにはいかず、食い尽くしたらおとなしくなる。この“おとなしい姿”こそ現在の我々の銀河系のような天体だと言われている。つまり我々の銀河系などは、遥か昔はどうもクエーサーのようにバカ食いしてやたら光や電波を発していたらしいが、今では周囲に“エサ”がなくなって、平衡状態になっているとされているのである。

我らが銀河系の遥か遥か古代……100億年くらい前の姿は、現在観測出来る最遠のクエーサーに見ることが出来る、と言えるかも知れない。現在最も遠いとされているクエーサーはおおむね100億光年くらいのところにあり、今でも強烈に輝き続けている。我々がそれを“見ている”ということは、100億年前に出発した光が我々の機械や目に届いたということだ。よく言われることだが、100億年前の姿を見ているということであり、太陽系はもちろん、地球なぞかたちもない。

子供の頃、星の世界が好きだったが、このクエーサーほどわたしを魅了したものはなかった。ただし、魅了しただけで、理系の科目を学年トップに打ち上げることはなかった、、、これはクエーサーにはまったく責任はなく、指弾されるべきはわたくしの怠惰である。。。