銀河系のメリーゴーランド? | しろグ

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夏の射手座方向は我らが銀河系の中心部がある方角で、巨大なブラックホールが居座っているとされている説が有力である。現在、銀河系は、以前のような渦巻き状ではなく、棒渦巻き状銀河ではないかと言われており、お隣さんのアンドロメダ星雲(M31)とはちょっと違う形をしているらしい。

Landscape and portrait ver. 2

我らが太陽系の位置は銀河系の中心部から約26,000光年はなれた辺境にある。オリオン腕と呼ばれる腕の内側の縁にあり、局所恒星間雲と呼ばれる星間雲の中にある。太陽系が属しているオリオン腕と隣のペルセウス腕との距離は約6,500光年だが、太陽系は銀河系におけるハビタブルゾーンの中にあると天文学者たちは考えている。ハビタブルゾーンとは、宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境となる天文学上の領域のこと。日本語では「生命居住可能領域」と呼ばれる。この領域の惑星や衛星は居住候補として優れており、そのため地球外生命が存在する有望な候補とされている。

宇宙の殆ど全ての天体と同じように銀河系も自転して、その運動に従って太陽系も動いている。その速度はおおむね秒速217km。約1,400年で1光年進み、8日で1天文単位(太陽と地球の距離 約1億5,000万km)進む。銀河系を一周するのに2億2,500万~2億5,000万年かかるというわけで、今までに約20~25周しているとのこと。となると、太陽系はまだ“青年”ということなる。

Landscape and portrait ver. 2

太陽が銀河系内を運動する方向を太陽向点と呼ぶが、太陽の銀河系内運動の標準的な方向はベガの近くのこと座とヘルクレス座の境界付近で、銀河中心から約86度の方向である。つまり、ほぼ真上に跳ね上がっている、ということになる。このままだと銀河系から飛び出してしまうと思うのだが、どうやら太陽系は、銀河赤道面を中心に上下運動をしているらしい、という説がある。サインカーブのような周期をもって上下運動を行うところから、一般的な呼称かどうか知らないが、銀河メリーゴーランド説、と呼ばれている。

Landscape and portrait ver. 2

太陽系が上下に運動する周期は約6,200万年と見積もられている。上下運動する際に太陽系は2度、赤道面を通過するが、この説はもともと地球での気候変動や生物絶滅の研究をしている際に見つかった周期性との関連があるとされている。銀河赤道面は物質の量が多い。これは太陽系で地球を含むほぼ全ての物質の軌道面が太陽の赤道面と一致していることを考えれば当然なのだが、宇宙空間に物質が多いということは、様々なブツが太陽系を横切ったり、時には地球に衝突する可能性が飛躍的に高まる、ということである。銀河系のチリが地球辺りに漂っただけでも太陽光を遮るカーテンの役割を果たし、地球は寒冷化する。地質時代からの氷河期、天体衝突の頻度、生物の絶滅や変化など、どうも銀河赤道面を通過する周期と関連があるのではないかという説が取り沙汰されている。現在太陽系は銀河赤道面をこえて、その上方25光年くらいのところにいると思われている。

こういうことを知ると、我々の生活が、目もくらむような巨大な宇宙の運動と密接に関わっていることが分かる。6,500万年前に隕石(彗星のかけらとされている)が衝突して恐竜が絶滅したとされているが、これがなければ哺乳類の飛躍的な増大は恐らく考えられなく、つまりは我々もいなかったかも知れない。1994年に、直径10mくらいの天体が地球の近くにふらりと現れたことがあるが(といっても220万kmくらいの距離だが)、こんな石が地球に落ちていたら関東地方くらい消滅する……

太陽系は、銀河系の“環八”は脱したが、週末の井の頭通りくらい混雑しているあたりをうろうろしている。宇宙は我々が思っている以上に危険なところのようである。