ホッジ予想 | しろグ

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またまた懲りずに『ミレニアム懸賞問題』から1つ。

『非特異な射影的代数多様体の上の(ある種類の)すべての調和微分型式は、代数的サイクルのコホモロジー類の有理的な結合になる』

「……」

これは、ついこの先日の記事で触れた“問題の意味さえ分からない”類いのものである。数学的には極めて重要な『予想』なのだが、現代数学の性質の1つ《その多くが素人の観賞を不可能にしていること》を最もはっきり示している。高校で理系クラスにいて数学に親しんだ人(わたしは数学から親しまれなかった。歩み寄りが不充分だったようだ)がホッジ予想に到達するまで……多分、どんな予想なのかが分かるまで……数ステップが必要であり、その各々のステップはプロの数学者さえもひるませるもの、、、らしい。

まず「非特異な射影的代数多様体」だが、簡単に言えば、代数方程式の解から得られるならめらかな高次元の“曲面”のこと。である。らしい。

「……」

で、「調和微分型式」はラプラスの方程式(物理学と複素関数の研究で使われる)と呼ばれるある非常に重要な偏微分方程式の解だと考えておけばよい、、、と参考にした本の中には書いてある。

この予想は、ある種の多様体から出発してその上で微分積分を行う時に生じるある種の抽象的な対象(H-対象)に関する主張である。対象を定義するために微分積分学を使う時、得られる対象はいかなる意味でも《幾何学的》である必要はない。ホッジさんはH-対象がその例外であること、少なくともほぼそうであることを主張なさっておいでということである……もう少し頑張って言えば、H-対象は代数的サイクルのコホモロジー類の有理的な結合である。つまり任意のH-対象は幾何学的対象から純粋に代数的な方法で組み立てられる……

「……」

この予想が証明されると、代数幾何学、解析学、トポロジー(位相幾何学)の3分野間の基本的な関係が確立されるだろうとのことである。……小学生時代の算数で川に投げ込まれ、中学の数学で溺れ、高校数学で遭難したわたしには、どうしようもない。。。そうだ、高校時代に数学が飛び抜けて優秀な男がいた。K都大理学部と大学院で数学を研究していたが、今どうしているんだろう。彼にレクチャーしてもらえればいいのだが、多分宇宙人としゃべっているようになるんだろう……

ウィリアム・ホッジさんは1903年生まれのイギリス人。エジンバラ大学からケンブリッジ大学に進み、33歳の若さでケンブリッジ大学の教授となる。1938年にロンドンの王立協会の会員に選出され、1957年に権威あるロイヤルメダルを受賞、1959年にはナイトの爵位を授与。1947年~1949年までロンドン数学協会の会長をつとめ、1952年には国際数学連合の設立に主要な役割を果たす。その他、様々な賞や栄誉に輝く。ケンブリッジ大学を1970年に退官。1975年歿。

「……」

イギリスの『知のエスタブリッシュメント』を地で行く紳士だったに違いない。


せめて、わたくしも紳士を目指さないと。。。


※参考図書:『興奮する数学』~世界を沸かせる7つの未解決問題
      キース・デブリン著/山下純一 訳/岩波出版