ナヴィエ=ストークス方程式 | しろグ

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最近はずっとドストエフスキー・リバイバルを継続していて、一時期読み倒していた科学系の本はお留守となっているが、その中ででてきた戦闘機の名前みたいな方程式が気になっていた。もちろん気になっているだけで、自分でこれを使って何か出来るわけではなく、そればかりか理解さえも出来ないだろうと思うのだが、それだけだと面白くないので、調べるだけ調べてみた。

前のブログで『ミレニアム懸賞問題』について書いたが、この方程式は、解決した人にはクレイ数学研究所から賞金100万ドルが与えられるという問題群の1つとなっている。

ナヴィエ=ストークス方程式は、流体における“ニュートンの運動方程式”といわれている、極めて重要な方程式である。例えば x、y、z のそれぞれの方向の速度 u、v、w について導かれていて、

Landscape and portrait ver. 2

Landscape and portrait ver. 2

Landscape and portrait ver. 2

のような形を取る(らしい)。

式中のFx,Fy,Fzは、1kgの流体がそれぞれの方向に受ける外力……つまり、重力、浮力、電磁気力、表面張力などを表している。密度は一定だと仮定出来るので、解くべき変数は u、v、w、p の4種類。これに対して方程式は、連続の式 x、y、z 方向の方程式で計4つあるので、、唯一の解を求めることができる、、、はず。もし一般解が求められれば、流体の挙動を完全に知ることが出来る、というわけである。

人類は完全にニュートンの運動方程式を駆使出来るので、火星や土星や太陽系外縁まで極めて正確に人工天体を飛ばし、その天体が嗅ぎ回ってつかんだ情報を地球にいながらにして分析研究することが出来る。同じように、東京湾辺りに沈めた計測ボールが、完全に解明されたナヴィエ=ストークス方程式を駆使して、モーターか蹴飛ばされるのか知らないが、初期運動と方向を与えられ、動力が切れた後はあらかじめ計算された太平洋の海流や潮流によって移動し、正確に2011年4月11日の日本時間午後8時45分に喜望峰に突き出たある岩を観測する、ということが出来る……あ、ナヴィエ=ストークス方程式が解けるということは、本当にこういうことなのか、お分かりの諸賢がおられたら是非お知らせを、、、

ところが、『ミレニアム懸賞問題』の栄えある一翼を担っているように、この問題は極めつきの難問の1つである。この問題は、肯定はもちろん否定をした場合でも「解決」と見なされる。実際この方程式は、どのような解になるのか皆目見当がつかないというばかりか、解そのものがあるのかどうかも分かっていない。

わたくしがこのようなトピックをいじりまわして面白いと思うのは、こんな問題があちこちにいろんな形で存在しているからである。どんな問題なのか理解することはおろか、問題の意味さえ分からないものも多いが、“そういうものがこの世にある”というだけでも充分楽しめるので安上がりである。