大正珍寳 即位大典

 

形態 : 丸形穴あき銭 

分類 : 年号年代銭/記念銭 

サイズ : 直径 89mm、厚さ 4.8mm 

量目 : 176.9g 

材質 :鉄 

お宝度:◎◎◎

作銭度:上

 

 

 

 

今回は、「大正珍寳」という

大型の丸形穴あき銭を紹介しようと思います。

 

この銭貨、近代の年号が銭銘になっているので

興味を持った訳ですが、それにしてもハンパなくでかいですね。

直径9センチ近くもあります。

 

磁石に反応するところから、どうやら鉄製のようで、

銭貨というより、メダルか文鎮と言った方が

イメージ的には、合っているような・・・

 

その上、銭銘が何ともね〜

珍しい宝には違いがないですが、大きい声で言えないというかw

 

でも、製造の経緯は確りした物で

裏側を見ると「御即位大典記念」という文字があり

大正天皇が即位した際の記念銭のようです!

 

まあ、政府発行ではなく民間銭でしょうけど・・・

 

その下側に「大正卯年十一月」とあるのは

大典が開催されたのが大正4年11月ということで

すなわち大正4年は、卯年でもあるわけです。

 

 

因みに、大正天皇の即位大典について調べてみたところ

 

天皇の即位儀礼は

 「践祚(せんそ)」~前天皇の崩御後、ただちに皇位継承者が即位する

 「即位式」~天皇の即位を国の内外に宣言する(最高の皇室儀礼)

 「大嘗祭」~五穀豊穣を感謝し、新穀を神と共食する(一代一度)

の3つの儀礼からなり

 

1909年(明治42)旧皇室典範に属する登極令の制定により、

皇室儀式の内容が細かく規定され、

即位式と大嘗祭は、前天皇の1年間の喪が明けた年の

秋冬の間に続けて行うことに定められた

 

これにより、大正天皇の即位に伴う御大典は

本来1914年(大正3)に挙行される予定だったが、

同年4月に昭憲皇太后の崩御により1年延期された

 

1915年(大正4)11月10日、14日~15日、

京都御所において

登極令制定後初となる、大正天皇の御大典が執り行われ

この日は、勅令により、祝日として定められた
  総予算:853万8357円(当時の金額)

 

<即位式>
1915年(大正4)11月10日
~京都御所紫宸殿 / 紫宸殿の儀

 

皇室の祖神である天照大神と歴代の天皇へ、即位と期日を奉告される
伊勢神宮へは、勅使が遣わせられる

  天皇は「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」と称する

  天皇以外は着用できない束帯を着用された
  貞明皇后は、懐妊中(第四皇男子、澄宮崇仁親王)であったため

  欠席された

  明治天皇の即位時には新調できなかった天皇の玉座の

  「高御座」が、江戸時代の様式により新調される
  また、この時から高御座の隣に、皇后の「御帳台(みちょうだい)」が、

  高御座に準拠して考案されて新儀として設けられた
  造りは、三層黒塗り継檀の上に八角形の屋根を置き、

  鳳凰・鏡等の装飾がある 高さ5.9m、幅6m、重さ8トン


  旗の類は、神話にちなむ刺繍を入れたものが新調されたものの

  榊はやめて綾や錦を使うなど、総じて江戸時代以前の様式と

  明治の即位を折衷したような形式になっている。


  明治よりも神事性が後退したかわりに、天皇が即位したことを

  自ら賢所に告げられる賢所大前の儀が新たに制定され、

  即位の前提に神道があることを強調する儀式構成になった。

 

<大嘗祭>
1915年(大正4)11月14日深夜~15日未明

~京都御所 悠紀殿・主基殿


天皇が即位後初めて行う新嘗祭(にいなめさい)(一代一度の大祭)で
その年の新穀を天皇が、皇祖神 天照大御神および天神地祇に供え、

自らも食べる

 

  お供えする御神饌として、ト定された斎国(いつきのくに)

  (悠紀の国(ゆきのくに)は愛知県、主基の国(すきのくに)は香川県) 

  の斎田から抜かれた稲穂から、

  御飯(みい)、黒酒(くろき)、白酒(しろき)が作られる

 

  祭場となる大嘗宮(東の悠紀殿(ゆきでん)、西の主基殿(すきでん)

  の2殿)が造られる
  悠紀殿には、南枕に布団が敷かれ、布団の北隣に沓と沓を載せる

  台が置かれる

 

  14日深夜、天皇が廻立殿(かいりゅうでん)に渡御し、

  小忌御湯(おみのおゆ)で潔斎して斎服を着る


  悠紀殿に入り、神饌をお供えし、告文を奏上して、

  直会(なおらい)(天皇も御神饌を一緒に食べる)が行われる


  一度、廻立殿に戻り、次いで、主基殿に入り、悠紀殿と同じ

  儀礼が行われる

 

<饗宴の儀>

1915年(大正4)11月16日、17日

~二条離宮(二条城 二の丸御殿)

 

各国の王族や要人などを招き盛大に行われた。

 

 

【大正天皇御大典に伴う記念事業】

京都では、明治時代後半からの京都市三大事業を完成させ、

活気にあふれていた時期であり、 大正天皇御大典も盛大に行われ、

それに伴う記念事業もいくつか行われた

京都博覧会
  1915年(大正4)10月1日から12月19日の80日間、

  岡崎公園にて大正天皇御大典を記念して、「大典記念京都博覧会」

  が開催される
  京都の生産品展観と、文部省主催の美術展覧会が行われ、

  入場者は約86万人になった

京都府立植物園
  1924年(大正13)元旦
  大正天皇御大典を記念して「大正天皇御大典記念京都植物園」として

  開園する日本最初の公立植物園

京都駅
  1914年(大正3)
  大正天皇即位大典を前に、日本一の規模を誇った、檜造・ルネサンス

  様式の二代目 京都駅が完成する

二条城
  大正天皇御大典の饗宴場が、二条城 二の丸御殿で行われる
  それに伴い、南門や二の丸御殿の附属建物が増築された

京都御苑
  建礼門前大通が、大正天皇即位大典を行うために、現在の規模に

  拡幅される

梨木神社
  大正天皇御大典に伴い、三条実美が合祀される