饒益神寳 當百  

 

形態 : 楕円形穴あき銭 

分類 : 皇朝銭/創作銭 

サイズ : 縦 49mm、横 34mm、厚さ 3.0mm 

量目 : 25.1g 

材質 :銅 

お宝度:◎◎◎◎◎◎ 

作銭度:中 

 

 

 

 

今回紹介するのは、皇朝十二銭の一つとして知られる

「饒益神寳」と同じ銭銘の楕円形穴あき銭です

 

一見して銭様は、天保通寳の鋳写銭と判断され

表に銭銘の饒益神寳という文字を縦書きし

裏は天保通寳そのままで

當百という額面表記と金座花押を配置しています

 

同じ銭銘の銭貨でも、こうして楕円銭にしてみると

全く違った印象になるものですねw

楕円銭マニアにとっては、何とも味のある

いい雰囲気の逸品となっています

 

本来の饒益神寳(じょうえきしんぽう/にょうやくしんぽう)は、

859年(貞観元年)に日本で鋳造発行された

皇朝十二銭の8番目の銭貨です

 

直径19mmから20mm前後、量目2g程度の

銅で鋳造された丸形穴あき銭で

銭文は、回読式で饒益神寳と表記され

裏は無紋となっています

 

饒益には、2通りの読み方があり

「ジョウエキ」物が豊かなこと

「ニョウヤク」仏教語で物を与えることを

を意味しています

 

貞観元年4月28日(859年6月2日)に饒益神寳発行の詔が出され

饒益神宝1枚に対し旧銭10枚の交換比率が設定されました

>『日本三代実録』巻二

 

この銭以降、朝廷発行の貨幣は、

銭文が判読できないほどの悪質なものが非常に多くなり

日本国内における撰銭の最古の記録も饒益神寳の

流通時からとなっています

 

貞観7年6月10日(865年7月6日)付の記事には

新銭の文字が、すこぶる不明瞭であっても

使用に支障が無ければ撰銭することを禁止する詔が出され

「禁京畿及近江国賣買之擇弃惡錢曰」と記されています

>『日本三代実録』巻十一

 

饒益神寳の鋳造期間は、11年と短く

皇朝十二銭のうち、現存数が最も少ない銭貨といわれています

(皇朝銭1万2千枚余りの内、饒益神宝は76枚)