今回は昨日の続きとなります。良かったらチェックしてみて下さい。

https://ameblo.jp/masatolevel3/entry-12852072028.html

 

V字回復 そもそも「どうやってV字回復したのか」ですが、やはり橋本社長による抜本的な改革が色々ありました。大きいところで言うと「5つの高炉削減、32ライン休止」それによる「固定費削減(リストラ)」、これにより生産量は削減され利益も売上も減ると思いがちですが、利益はV事回復している。それまで営業はシェア率を優先しており値段を上げることも考えないし、そして高炉も多かったので供給が多いことで利益率は上がりにくい。

 

 その考えを根本からひっくり返し、営業に対してシェアよりも「利益率を優先」「シェアが下がるのは仕方ない」と言い切りました。それと同時に決死の値上げ交渉を大手自動車メーカーに行います。それまでの力関係は「買って頂く側」、強く交渉できないのが当たり前の世界でした。そこに対して「提供側が値段を提示しなければいけない」と、考えを根本からひっくり返し、高付加価値にあった価格を提示する、これまでの慣例に囚われない、前例を打ち破っていく姿が非常に印象に残りました。

 

 また、歴代社長最多の製鉄所訪問回数と、直接訪問し、問題点を炙り出し、改革をやり切らせるという実行力、実行させる力を感じました。訪問した時は、通常は上位の幹部層と対話するのだけでなく、さらに現場まで降り、スーツから作業技に着替えて、現場のリーダー、工場長、設備担当の課長まで対話する相手を広げたと、トップ自ら下まで降りていく体勢が素晴らしいリーダーの姿だと感じました。

 

社員の活躍 そして橋本社長だけじゃなく、多様な人材の活躍も本書では描かれてます。例えば「詰め将棋」と言われるほどの切れ物として社内で知られ、橋本社長に引き上げられた、今井さんという方が4月から社長を交代します。「社長交代して大丈夫か」と思われますが、今井次期社長も本書読むと本当にも切れ物、技術畑出身でありながら経営の感覚も非常に鋭そうな印象を受けます。

 

 また、日本製鉄の前進は「新日鉄住金」で、新日本製鉄と住友金属工業の経営統合があったわけですが、それを先導したM&Aのプロフェッショナルの方がいたり、その人自身の過去の経験失敗経験で、幻の日本オラクル買収を糧にしたという話があり、製鉄がソフトウェアの会社を買収する話があり、上手くいきそうだったんですが買収契約の当日になって突如中止を言い渡された、そういう苦い経験もあった上での経営統合だったというエピソードも、苦難を乗り越えていく姿も良かったです。

 

 インドの大手鉄鋼会社を買収でも、インドは自国生産保護に向かっている国かつ、これから大きく成長していく国ですので、その買収を取り仕切った経験を持つ方がいたり。日本製鉄は「法務力が強い」企業ランキング国内2位であり「法務を支える守護神」と呼ばれる方がいたり。

 

 また、製鉄業界はESGと言われる中、脱炭素に対し重要な割合を担っており、この製鉄業界はそんな社会の変化に対し、試験・調査・改修に挑んでいるエンジニアの方の話などもありました。これはすごい大変で、水素還元製鉄という、水素を使い鉄を製造するプロジェクトをやってるわけですが、その試験っていうのが1ヶ月の操業と5ヶ月に及ぶ調査・回収というサイクルを止めどなく回します。5ヶ月も調査・回収して、ようやく1ヶ月試験操業、なので1年に2回しか試験炉の稼働ができない、そんな知らない世界でした。他にも、カナダの資源大手企業に対して20%出資したなど、原料の確保も非常に重要で、あらゆるところで色んな人材が活躍していると、本書では多伎に渡って載されていると感じました。

 

まとめ とにかく面白かったし、勉強になりました。そして、今年は非常に大事な年、USスチール買収成功するのかどうか。本書を読んで、鉄鋼は、とにかく広い産業の根幹にあるので、その中でも高品質で軽くて丈夫、硬さ、柔らかさ、いろんな特徴の鉄があり、本当に鉄を作ると言っても、いろんな種類があり、まさに産業の根幹になるようなものだと感じました。あとは経営の面、リーダーシップ、ソフトスキルの面など広く勉強になる1冊でした。ビジネスマンの方も、投資家の方も、読んだら絶対面白いと思いまので、興味あった方は手に取って読んで頂ければと思います。

 

 

にほんブログ村 株ブログへ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ