今回は昨日の続きとなります。良かったらチェックしてみて下さい。

https://ameblo.jp/masatolevel3/entry-12849570433.html

 

アルケゴスと金融機関 このファミリーオフィスに手を貸して問題を大きくしたのが、プライムブローカーサービスを行っていた金融機関。ヘッジファンドが苦戦するようになり、金融機関はファミリーオフィスを重要な客と捉えるようになった。ファミリーオフィスにはファンドにあるような注意義務やうるさい投資家もいない。それもあってファミリーオフィスは複雑な取引がしやすく、リスクが高い取引により金融機関も手数料を取りやすい。

 

 それで金融機関同士で顧客争奪戦を起こし、アルケゴスはかなりの上客だった。アルケゴスと取引をなっていた野村ホールディングスの上級幹部は事件が起きる数ヶ月前にも食事をしてた。そもそもファンは法令違反で問題を起こしたから普通は大手金融機関との取引は認められない。しかしある時、

 

「アルケゴスの法令順守体制が確認できた」

 

と言って、徐々に大手金融機関との取引が再開された。それで取引を始めてトータル・リターンス・ワップなどやるが、金融期間にポジションを偽っていた。ブルームバーグによるとアルケゴスは最大350億ドル、約3.8兆円の資産となった。これに対してポジションは1600億ドル、約17兆円。要はリスクが高い株の買い方で高いレバレッジをかけていた。アルケゴスが膨張していった2020年後半に、野村はアルケゴスを最も安全な顧客に再分類した。それで要求する担保額を引き下げた。これが事件前のアルケゴスの状況。もはやいつ爆発してもおかしくない爆弾で破壊力抜群だ。

 

問題発覚 アルケゴスは特定の銘柄に集中していてその株は絶好調だった。その1つがバイアコムCBS、2021年の初めは株価が31ドルだったが、3月22日は100ドルを突破、わずか2ヶ月で3倍近く上がった。しかし3月23日増資を発表、増資をすると株式が希薄化して株価は下落する。それでバイアコムCBSの株価は2営業日で70ドルになった。

 

 この損失を補うためにアルケゴスが実質保有していた株の売却も迫られた。これはアルケゴスが銀行に預けた担保が不十分になったので追証が発生した。つまり、資金を作るために売却、また保有株の株価が下落、また売却と負のスパイラル。基本的に損失はアルケゴスが負担するが、金融機関としても損失を回避したかった。

 

 もしアルケゴスが破綻したら、本当の保有者の金融機関が損する、最悪何兆円もの損失を被る。しかしみんな一斉に売却してしまったら市場が大混乱に陥る可能性もある。それで3月25日アルケゴスと取引をしている大手金融機関の間で電話会議を実施。損失が大きくなりそうなクレディ・スイスや野村の担当者は1ヶ月かけて解消しようと提案。しかし、アメリカのモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスの担当者は、

 

「早く市場に売却しないとこちらがやられる」

 

ということで会議は終了。それで投げ売りが始まり関連の株式は急落、特にゴールドマンサックスは26日にブロック取引、まとまった売買取引を105億ドル行った。一方ファンは26日に社内会議を開いて、

 

「一緒に乗り切ろう」

 

と呼びかけた。実際、追証に応じられなく速攻で破綻した。兆単位の資産を持ちながら問題が発覚して、わずか10日たらずで破綻した。

 

 

 

金融機関の損失拡大 この流れで取引を行っていた金融機関は関連取引を清算して徐々に損失を出した。一気に清算するのが難しく徐々に行うしかない、さらにこの規模と損失額に対して影響が分からなくて市場に大きな不安を与えた。ファミリー・オフィスだから資産内容も不明確、損失が分かったのも少し後になってからだった。損失を出したのランキングは

  • 第5位 三菱UFJフィナンシャル 3億ドル
  • 第4位 UBS 7.7億ドル
  • 第3位 モルガン・スタンレー 9.1億ドル
  • 第2位 野村 28.5億ドル
  • 第1位 クレディ・スイス 55億ドル

 

 

 クレディ・スイスは追加の出資をしてもらおうとしたが他の問題を含めて会社の信頼がなくなり出資がうまくいかなかった。スイスの国立銀行が支援しようとしたが問題は沈静化せず、2023年3月UBSに買収してもらった。これと別にリスク管理問題で株主からの集団訴訟が起きて3250万ドル払うことで合意となった。

 

 

 さらに同じくリスク管理の問題でアメリカのFRBとイギリスのイングランド銀行から3.87億ドルの罰金が課せられた。これを買収したUBSが負担することに。非公表も色々あるが、この5社だけで103億ドルの被害になる。そして2022年4月、創業者のファンとCFOのパトリック・ハリガンが逮捕・起訴された。共謀での市場操作・通信詐欺・証券詐欺など11件。ファンは2箇所の不動産と500万ドルを差し入れて保釈された。この問題によってファミリーオフィスへの規制について議論されたり、痛手でを追った金融機関はプライム・ブローカー業務から撤退、縮小する動きが出た。

 

 

最後に やはり金融業界はずっとリスクを追い求め続け、バブル崩壊までのチキンレースを定期的にやってる。バブル崩壊した後に規制を引くものの、また新たな狩場を探すだけなる。なので、原因と結果を分析して巻き込まれないように自衛していくしかない。

 

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