長かった冬もようやく終わって、ようやく桜の季節がやってきました。

そしてあっという間に散っていきますね。

 

季節の移り変わりを体感しなければ、なんだか世間から取り残されていく気がします。

 

今年は、桜の時期と大阪出張が重なりましたので、あえて愛知県の田舎町から都会の桜を見に行く事にしました。

とはいえ、ワタクシ事ですが、人込みや混雑が大っ嫌いです。

そんな時の裏技として活用しているのは、早朝、お一人様ウオーキングお花見です。

 

さっそく、大阪のビジネスホテルを6時に出発して町ブラを始めます。

最初に向かったのは、大川を渡る川崎橋です。

 

 

ここは人道橋ですので、橋面から景色を見るには最高の場所です。

 

 

まだ営業していない屋台と、誰もいない桜の通り抜け。この景色が独り占めとは、なんともいえず贅沢ですね。

 

 

 

川崎橋のイイところは、大阪城の天守閣が見られるところです。

いつも思うのですが、桜ほど人工物と相性がある花は無いですね。

紅葉と、人工物。ラベンダーと人工物・・・絶対に合いません(笑)

 

 

中之島の風景も素晴らしいです。特に、中洲部分からの噴水モニュメントは遊び心があって、ワクワクします。そして、常に噴水があるわけでは無い様です。ごく短時間に、たまに噴かれるのが面白いところです。

(以降の写真は、早朝では無く昼休み時間帯)

 

 

天満橋は、昭和10年に架設された選奨土木遺産です。当時、最大スパンの鋼アーチだったようです。

 

 

中の島公会堂は、建物単体だけでも、いくらでも眺めて見られるくらいの芸術品ですが、桜にも合いますね。

 

 

大川の堤防沿いに植えられた桜たち。とても奇麗なのですが、ふと、この前にNHKのチコちゃんで桜シリーズをやっていた事を思い出しました。

その内容は、『桜並木が川沿いにある理由?』でした。

 

 

解答の一つ目は、桜は根を張る植物なので、堤防の強化につながるようです。

たしかに、桜の根を見てみると、縦横無尽に根が広がっていて、たしかに堤防の表面を強化している事がわかります。

納得です!

 

 

もう一つの回答が、チコちゃんのメインでした。

それは、『桜を見に来る群衆たちが、堤防を歩き回ることにより、締固め効果が高まって堤防の強化を図る』といったものでした。

その内容を、詳細に考えてみることにします。

 

既存の堤防が、洪水によって決壊したというのが、話のスタートでした。

 

その被害の様子を聞いた、8代将軍である徳川吉宗は、どんどん堤防を造ればいいと考えた様です。もちろん、堤防を造るといっても巨額の費用が発生します。

当時は、大不況の時代であって幕府の金庫は空であり、お手伝い普請をさせる大名も、金欠でした。

堤防づくりで手間暇がかかってお金がかかるポイントは、盛り土の締固め作業だった事を知った吉宗は、「堤防の上に桜を植えたら、多くの花見客がやってきて歩き回ることによって、堤防が強化される」と思い付いたようです。

そうなると、すぐに指示して実行させることができるのが、トップダウン型のリーダーである吉宗のイイところです。

それ以降、堤防に桜を植えるという行為が流行りだした、現在まで続いているとのことです。

 

漫画で表現したら、こんな感じでしょうか・・・

 

吉宗の考えを要約すると、お金を極力かけずに堤防を造るためには、土を一気に盛り立てて、一番てっぺんだけを多くの人々で踏み固めればイイじゃん!

表面だけ締め固めれば、途中の盛り土は、フンワリでいいだろうし。

これでコストダウンできるし、どんどん堤防を伸ばせるぞ!

・・・です。

 

 

江戸時代の堤防づくりは、あたりまえなのですが、ショベルカーやブルドーザーなどの大型重機などは無く、完全な人力に頼るものだったようです。

特に活躍した道具は、”たこ”呼ばれる、土を突き固めるものでした。理屈は簡単で、重たい物体を高いところから落とす事によって、その衝撃で土を締め固めるといった方法です。

 

「私たちの大和川 ・私たちの大和川研究会 資料より転載」

 

堤防を造っている状況を表した資料を見ると、人々が作業場所に群がって、本当に人力に頼っていることがよくわかります。よく見ると、土は水平に少しずつ盛って、そして締め固めていく流れが確認できます。

 

「大和川つけかえと八尾 ・八尾市立歴史民俗資料館 資料より転載」

 

当時の文献によると、土は約30cmごとに盛って、その度に”たこ”で締固めなければならないようです。その理由ですが、”たこ”の効果は30cmほどしか効かなくて、それ以上に厚く土を盛ると、締固め効果が無くなるようです。

つまり、堤防と言うのは、低いところから、コツコツと30cm毎に盛って、締め固めていく必要があるようです。

 

 

ここで、堤防の造り方を整理してみます。

堤防は、水平方向に一層ずつ積み重ねていくというのがポイントの様です。

 

 

そうなると、チコちゃんで説明していた、堤防を突き固める作業を省略して、花見の群衆に踏んでもらって堤防を強化するというのは、少し違うかも?

表面だけ踏んでも、堤防の強化にはつながらないのでは???

 

ましてや、”たこ”を使って堤防を盛っていく作業が省略できるといった発想は、大きな間違いの様です。

 

 

おそらく、堤防の上に桜を植えたのは、桜の根が広がって堤防の表面を安定させるというのが理由であって、花見客が踏んで?なんていうのは、理屈が飛躍しているような気がしてなりません。

 

とはいっても、将軍様がそうやって説明して指示したのだとすると、特に逆らうつもりはありません(笑)

 

もしかして、物づくりの理屈を知らないで、トップダウンで指示する行為というのは、危険との隣り合わせかもしれません。

事実、江戸ではそれ以降も洪水で決壊する堤防が多かったようです。

 

そんなこんなを考えながら、桜をみたり、堤防の構造を考えたりしながら、ノンビリ散歩するのも、このシーズンならですね。