亀の瀬とは、奈良県と大阪府の県境にある大和川に沿った地域にある。その亀の瀬を貫くように、重要幹線である国道やJR関西本線が通っている。
そこは、地滑り地帯で関西地区では特に有名である。地滑り自体は太古の昔からあったようだが、記録に残るのは明治36年以降のようだ。
大規模地滑りが頻発した昭和35年から、本格的な地滑り対策事業を進め出しており、現在ではその対策はほとんど終わり、新たな動きは発生していないと言われている。
関西地区では、小学校の社会で習うことであるが、その全体像は理解していなかった。わかっている事は、「大和川流域で大きな地滑りがあって、氾濫がくりかえされた」事くらいであろうか。
その、亀の背地すべり対策事業の市民見学会があったので参加してきた。
そこで学習したことを防備録がてら整理してみる。
 
1.亀の瀬の地勢
ポイント! 奈良盆地に降った雨は、大和川しか排水する場所が無い
 
亀の瀬は、奈良盆地と大阪平野を結ぶ場所にある。また、奈良盆地の周囲は高い山に囲まれており、そこに降った雨は、大部分が大和川を流れる。奈良盆地を囲っている山は、大和川が流れる部分だけ切れていると考えたらわかりやすいかもしれない。
 
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国土地理院の地図を利用して断面図を作成したら、奈良盆地と大阪平野の関係がよくわかる。奈良盆地は、周囲を高い山に囲まれているのだ。
 
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2.何故地滑りが発生すると困るのか
まずは、亀の瀬地区が、地滑りが非常に発生しやすい場所ということが前提となる。その亀の瀬で地滑りが起こると、何故大変な問題が起きるのか。それをシュミレーションしてみる。

 

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そう。端的に言葉でまとめると・・・
①亀の瀬で地滑りが発生して、大和川が埋まり土砂ダムとなる
②土砂ダムに遮られた奈良盆地の排水先がなくなり、水没する
③その土砂ダムが決壊したら、大阪平野に大洪水が起きる
それ以外にも問題点は多い。
④大和川に並走している、国道やJR関西本線の通行が不能となっての経済的な損失
 
以上から、ここ亀の瀬は奈良と大阪を守るために、地滑り対策を行っているのだ。
それでは、何故この地区では地滑り発生地帯になったのであろうか。それについては、すべてをブログにまとめるのには無理があるので、ここでは火山とその上に堆積した軟弱な土砂の関係とだけ記載しておこう。(あくまでも専門家では無いので、聞いてみての想像です)
 
ここからは、見学会で見る事が可能な地下水排除工を紹介する。
亀ノ瀬排水隧道 第一号 昭和44年に竣工しており、平成16年には拡幅工事も行っている。
 
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排水トンネルの中に流れている水は、地滑り地盤の塊から水を抜いた排水である。舐めてみたが、普通の水であった。
 
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隧道に入っての振り向き写真。そう、これを見に来たのです。
 
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隧道の中には、多くの水抜きボーリングの穴が付き出ている。
 
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排水トンネルには、竪坑が造られている。この場所から真上を見てみると
 
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ライナープレートで補強された竪坑を下から上方向に見る事ができる。もちろん、上からは水が落ちてきている。ここで、コンテジのレンズに飛沫をかけるというミスを犯してしまう。
 
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竪坑より先は、隧道が徐々に狭まっていく。
 
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これより先は、立ち入り禁止である。ライナープレートで覆工されていた。
 
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地滑り対策をどうやって行うのか、地滑りの原因とは・・・それらを学習することができる社会科見学。特別なイベント意外でも、申し込めば案内してくれるそうだ。

次回は、旧大阪鉄道の亀ノ瀬隧道について考察します。