教科書で習った玄武岩であるが、玄武洞が発祥とは知らなかった。
 
兵庫県の日本海側にある有名な温泉地である、城崎温泉。その表玄関である、JR城崎温泉駅から車で5分程度に玄武洞公園がある。そこには、柱状節理で有名な玄武洞を含めた5箇所の砕石場跡がある。
今から160万年前に火山から発生した溶岩が地表に噴出し、それらが冷えて固まる時に温度収縮が起こり、細かいひび割れが発生する。そして、溶岩の中心部が冷え切るまでに、そのひび割れが進行。最終的には六角形型の柱状節理が出来上がるというわけだそうだ。
長年時間が経過するうちに、それらの地層が地表に出てきて、それをみつけた人々が石を掘り出し、採石場として活用したのが”洞”の元だった。
 
ここのポイントは、天然の洞窟観光ではなくて、人為的な砕石場の洞窟観光だということである。まあ、現地に行ってから知ったんですけど。
よって、自分のジャンル的には炭鉱の分類となっています。
 
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最初に見どころは、5洞の中の中心的存在である玄武洞。垂直に切り立った岩盤に、洞が掘られている。
 
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砕石場として掘り進んでいるので、トンネル形状になっている。
 
 
洞と洞の間には、アーチ形状を保持するために柱状の壁が残されている。
 
 
しかし、見事な六角形の柱状節理ですね。あの1つ1つは、手で持てるんでしょうか。それとも、亀裂は表面だけなので、鑿をうがって引きはがすんでしょうか。非常に興味がありますね。
 
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六角形の形状を正面から撮影してみる。これを見ると、絵に描いた六角形ではなくて、およそ六角形の形状であるものと、崩れた形状のものが混在しているといった表現であろうか。
 
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離れた場所に、模範的な六角形群が見られました。
 
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実際に、ここで採掘された玄武岩が石畳や壁面として使用されている階段がある。
あれほどの亀裂を見せていた岩であるが、実物は非常に堅固であった。これだけ堅い岩に亀裂を生じさせたのは、マグマの温度収縮のなせる技の様だ。
 
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砕石場として最盛期の頃は、現在と比較して柱がたくさん残されていたようだ。しかし、ここ豊岡地方を襲った大地震で、柱が倒壊し、洞も崩れたそうである。それをきっかけに採石場としては終焉を迎えている。
 
       〈現在〉            〈最盛期〉
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今は、節理の美しさや学術的な重要さから天然記念物に指定されている。
また、日本の地質100選にも選ばれている。
これを見た子供たちの少なからずが影響を受けて、地質学者を目指すといった話も満更嘘ではない気がする。そういった雰囲気をかもしだした場所であった。
 
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じっと見つめていると、子供のころに罹ったウオノメのトラウマを思い出すのは自分だけでしょうか。
 
さて。忘備録として、学芸員さんに聞いた玄武岩生成のメカニズムを図示しておこう。
やはり、ポイントは溶岩の温度差による乾燥収縮によるひび割れにあるようだ。
 
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by Wariishi