三重県紀和町に紀州鉱山選鉱場跡地がある。

紀州鉱山の選鉱場は、昭和9年に鉱山の開発に着手した石原産業が、昭和14年に完成させたものである。当時は1日あたり2000tを選鉱できる、日本で1、2を争う規模であったらしい。
紀州鉱山の各工区で採掘された粗鉱石は、この選鉱場で機械選鉱処理し、精鉱石(主に銅鉱)を取り出した後に、和歌山県那智勝浦町の紀伊浦神港から船で精錬所に輸送されていた。
昭和53年5月に紀州鉱山が閉山し、選鉱場の建物は昭和57年に解体された。
さて、今回の散策は、それらの廃鉱跡を見に来たのである。
 
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おそろしき、素晴らしき景色である。まるで、天空の城とでも言おうか。
自分の中では、素晴らしき日本の景色、10選には選ばれる。
 
紀和鉱山選鉱場跡地とインクライン
 
選鉱場の取り壊しの時に、よくぞ柱だけ残してくれたものだ。
えっ?この景色のどこがいいの?
そう。写真じゃうまく伝わらないのです。言葉でも言えないのです。
でも、すばらしき景色なのです。
 
ちょうどその時に、廃トンネルの点検に来られた方が来た。そこで、少し説明を受けて中をみさせてもらった。
 
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ここは、選鉱場の中でも、最も低い場所である。トロッコの線路は複線である。トンネルは傷んでいるようには見えるが、健全度は問題なさそう。現役で使用もできそうである。
 
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少し奥に進むと、がっしりとしたゲートで塞がれている。
 
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ゲートより奥は、排水管があるくらいである。
 
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ポイント切り替え器は、ボロボロに朽ちているが、その分遺構感が強くて素晴らしい。
 
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閉山した今でも、石原産業はここの維持管理をしているそうである。
 
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鉱山のトンネルから滲み出た水を、ポンプで排水処理施設まで圧送している。それらの設備の管理や、水質試験をしているそうである。
鉱山って、掘り終えたから「や~めた!」っていうわけにはいかないんやね。
しかし、小規模の鉱山なら、廃鉱=赤字倒産と繋がるやろうし、その場合は維持管理なんかできんないし、ほっとらかし=公害と、なるんやろうね。
 
なんか、自分の目で見て、勉強になりました。