秋田県鹿角市にある史跡・尾去沢鉱山。
そのキャッチフレーズは、『1300年の歴史を誇る銅鉱脈群採掘跡』とあり、その名称だけでもなんだかワクワクする気持ちにさせてくれます。
最大のポイントは、鉱山で実際に使われていた坑道を、観光客が安全に見学できるように、観光坑道化していることだと思います。
総延長は1.7kmもあり、近代の坑道と、江戸時代の坑道の2タイプを体験できる、とても貴重な場所です。
さて、体験坑道ですが、とてもリアルな体験ができます。まずは、近代鉱山としての石切沢通洞坑から入場です。ここからが、史跡となります。
地面には、狭軌の線路が敷設されています。
鉱石を運んだり、工夫の連絡用にも使用されていたであろう、トロッコも展示されていました。
発注者は、尾張沢鉱山観光で、施工は地元業者である米村組とありました。鉱山もトンネルもそうですが、地表近くは地質があまり安定しません。簡単に言えば、地表近くは風化していてモロイ事が多いです。よって、コンクリートで覆工するケースがほとんどではないでしょうか。
コンクリート覆工された入り口から奥に進むと、鉱山全盛期のままの坑道があらわれました。
このあたりは、落石盤圧を防ぐ保安施設として、片留中柱支柱と呼ばれる方法で覆工されています。詳しい説明は無かったのですが、写真上の右側はものすごい硬い岩盤だっただと思われます。
片留中柱支柱の背面には、木材が詰められています。これは、坑道を掘り進める為に発破をしかけますが、岩盤が弱くて想定以上に落盤したのかもしれません。
簡単に言えば、支柱は真っすぐな丸太ですので、その隙間を埋める為の材料でしょうか。
覆工を全くしていない、岩盤そのままの”素掘り”坑道区間もあります。
この鉱山を観光地化することが可能であった理由の一つですが、やはり、この山の岩盤が猛烈に硬かったというのがあるそうです。
ここの岩盤は、触っても問題ありません。亀裂を探して岩が剥がれるのか体験してみましたが、びくともしませんでした。
取り残された銅鉱脈が表面に露出している場所がありました。
銅鉱脈は、およそ60cmくらいの幅だったそうです。本当にわずかな量なのが驚きです。
坑道の地面部分をよく見ると、トロッコ電車の線路跡が残されています。ここも、いわゆる廃線跡ウオーキングのジャンルになるかもしれません。
主要な坑道は全長800kmなのですが、観光坑道は1.7kmです。観光坑道は、この鉱山全体からすると、0.2%と、ほんのわずかなものです。
観光坑道からは、枝線の坑道も多くありました。それらは立ち入りが禁止されていますので、当時の姿が色濃く残っています。底盤部分には、排水側溝とトロッコ線路がリアルに残されています。歩けなくても、こういった本当の姿が見られるのもいいですね。
さて、尾去沢鉱山の観光坑道にはいろいろとわかり易く書かれている案内看板が多数ありました。
その中でも、最もこの鉱山の特徴を表している文章がありました。
『地球の生成時に生じた断層に、900万年前の火成活動により鉱脈が噴出し、断層を充足して形成された鉱石をシュリンケージ法により採掘した跡である。即ち地球の生成時に生じた断層の再現である。』
なるほど。
とてもわかりやすく端的に表現されている感じがするのですが、専門的な言葉も多くて、わかったような、わからないような。
正直言ったら、何のことかよくわかりません(笑)
そこで、尾去沢鉱山についてを、自分なりの解釈でまとめてみることにしました。
これからが、この鉱山の採掘方法になりますが、尾去沢鉱山では大正4年から【シュリンケージ法】を採用しています。
シュリンケージ法を簡単に漫画化すると、こんな感じです。
水平坑道を掘ってから、上向きに鉱脈に沿って掘り進めるのがポイントの様です。
シュリンケージ法の採掘方法を、現地で撮影した写真を利用してまとめてみました。
STEP1 水平坑道を掘削後、天井部に屋根兼足場を設置
STEP2 水平坑道から上方向に掘り進める
STEP3 上向きに掘った鉱石は、自然に下に溜まります。そこで、それを足場にしてどんどんと上方向に掘り進めます。上向き方向の仕事は、首も痛くなりやすく、落石もあるので想像以上に過酷だったと思います。
STEP4 30m上方の水平坑道付近まで到達したら、下に溜まった鉱石を搬出します。
STEP5 掘り出した鉱石を電気式トロッコで選鉱場へと搬出します。
これが、尾去沢鉱山の最大の特徴である、シュリンケージ法による採掘の仕方になります。
最後に、観光坑道の終点部に、目立たないようにヒッソリと【選奨土木遺産】のプレートが飾られているのが印象的でした。
観光客達は、このプレートに気が付かずに、どんどんと通り過ぎていきます。
目立たないプレートですが、私には声が聞こえてきます。
『 こういった鉱山技術が日本の産業にどれだけ貢献したか。少しの人だけでもわかってくれたら嬉しいよ~ 』
是非、この声を聞きに行ってあげて下さい(笑)




















