韓国アクション『The Witch: Part 2. The Other One』はより壮大! | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

今年のカンヌ国際映画祭の

マーケットスクリーニングで上映された、

パク・フンジュン監督のSFアクションホラー

『The Witch/魔女』の続編

『The Witch: Part 2 - The Other One』を観ました。

 

 

韓国では先月封切られ、

すでに280万人を動員する大ヒットを記録。

 

僕は一作目はフランスを代表する

伝統的なジャンル映画祭、

ジェラルメ国際映画祭ファンタスティック映画祭で

鑑賞しました。2019年の1月のことです。

 

というのも、僕の監督作『BEYOND BLOOD』が

ジェラルメに正式出品され、僕も招待を受けたのですが、

そのときのコンペ部門に『The Witch〜』

が入っていたのでした。

 

この年、ジェラルメに招待を受けた日本の作品は

『BEYOND BLOOD』だけで、アジア映画は

他に韓国映画が2本上映されましたが、

ホテルでよくすれ違うメガネをかけたアジア人がいて、

誰だろう?と思っていたら、

それがパク・フンジュンでした。

 

『The Witch〜』の上映後にホテルのロビーで

彼と会って、初めて会話をしたのですが、

そのときに続編の製作について尋ねたら、

「まったくどうなるかわからない」と真顔で

言っていたので、ああ、作るとしても少し先なのか。

と思っていたのですが、無事映画は完成し、

本国では大ヒットを記録して、本当になによりです。

 

今回の続編では、一作目でキム・ダミが演じた

ジャ・ユンではなく、

別のミステリアスな若い女性が主人公で、

アークという名の秘密の研究所から逃げ出した、

このスーパーパワーを持った超能力少女が

同じ能力を持つ残酷無比な集団に

命を狙われるというストーリー。

 

もちろん一作目とはストーリーはつながっており、

今作の謎の少女とジャ・ユンのルーツと壮大な背景、

2人の関係が次第に明らかになっていきます。

 

主人公を演じたシンシアは、オーディションで

1400人の中から選ばれた新人ですが、

ルックスはキム・ダミを少し彷彿とさせるものの、

初々しくフレッシュながら、

新人らしからぬ落ち着きと熱演が光ります。

いい目力をしている。

 

パク・フンジュン作品の特徴といえば、

ヘヴィで冷酷な血みどろバイオレンスですが、

今回は前作よりもさらにスケールアップしており

ブルータルで、さすが『悪魔を見た』の脚本家。

 

スピード感溢れる超能力アクション合戦は

今作でも健在で、しかも今回はキャラクターの

数が多いので、見どころでもあります。

CGは時に、ちょっと粗いですが。

 

Netflixの「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」が大ヒット中の

パク・ウンビン演じるキャラクターも重要ですが、

悪役ではありません。

しかし映画で彼女を観るのは多分初めてですが、

このようなジャンル映画のキャラクターでも

完全に自分のものにして、

巧みに表現できているのが天晴れです。

 

今作は新しい鍵となる重要キャラクターを紹介しつつ、

ジャ・ユンたちを生み出した巨大組織の

謎の核心に迫っていくというストーリー展開なので、

トリロジーの中の2作目という印象でしたが、

韓国で無事大ヒットしたので、続編は間違いなく

製作されることでしょう。