ホラー・トリロジー第1章『フィアー・ストリート パート1:1994』 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

ベストセラー小説を映画作したトリロジーの一作目で、

アメリカでも評判の、

『フィア・ストリート パート1: 1994年』を早速鑑賞。

 

 

夜、一人きりになったショッピングモールの

女性従業員がマスクをかぶった謎の殺人鬼に

狙われるという冒頭からして、まるっきり、

ストーカーじみた電話の男に襲われるという

『スクリーム』そのもののフォーミュラだったのですが、

しかも被害に遭う女性を主演級の女優

(『スクリーム』がドリュー・バリモア、『フィアー』がマヤ・ホーク)

が演じているところも共通してます。

 

しかし、映画はその後、舞台となるオハイオ州の架空の町、

シェイディサイドに取り憑き、姿を変え、凶行を重ねてきた

極悪な魔女が登場し、スーパーナチュラルな様相を帯びてきます。

 

ティーンが団結して戦う「ストレンジャー・シングス」的な

展開もあり、今や当たり前となったLGBTQの

ラヴストーリーも軸になります。

 

全体的にマイルドでポップなテイストの

ティーンホラーではあるのですが、

ゴア描写はなかなかエクストリームで、最近の作品だと

『スウィッチ!』を彷彿とさせたりも。

 

あとは音楽がかなり重要で、1994年という時代を背景に、

Pixies、Radiohead、Garbage、Prodigy、Nine Inch Nails、

Portishead、Soundgarden、White Zombie

といった有名バンドたちのナンバーが流れ、

その歌詞がセリフや状況にシンクロすべく使用されていて、

この時代を生きたオルタナロック好きの心に突き刺さります。

 

 監督を務めたのは、

2014年のSFホラー『ハネムーン』のリー・ジャニアック。

ローズ・レスリーが主演の、やや地味で

繊細なアートホラーでしたが、ぎょっとする

ラストのビジュアルは少し印象深かったです。

彼女の旦那さんは、「ストレンジャー・シングス」クリエーターの

ダフィー兄弟の片割れ、ロス・ダファー。

ハリウッドの新しいパワーカップルですね。

 

一週置きに配信される、時代が遡っていく、

続編の「1978」と「1666」も楽しみです。