Arclight Cinemas forever | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

カリフォルニアを中心に展開する映画館のチェーン、

Arclight CinemasとPacific Theatersが

閉館、というニュースに衝撃を受けています。

 

Covid-19の影響で昨年3月から1年以上

営業再開ができないまま、

トータル300スクリーンを持つ

この二つのチェーンが、まさか終焉を迎えるとは。

 

15スクリーンのArclight Cinemas Hollywoodは

特に、マンズ・チャイニーズ・シアターとともに

L.A.を代表する映画館(シネコン)で、歴史的な

シネラマドームはアメリカの文化的財産。

QT『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

や『サンセット大通り』の劇中にも登場しました。

 

入場料金は20ドル近くとかなり高いのですが、

スクリーンも大きく、音響も素晴らしく、

段差もあって、座席も快適。

映画を見る環境としては最高で、

L.A.に行くたびにアークライト・ハリウッドに

駆けつけました。

 

お隣に、巨大音楽&映画ストアの

「Ameoba Music」があったのも最高でした

(今年4月1日にハリウッド・ブルーヴァードに移転)。

 

昨年2月にL.A.を訪れた際も、ここのドームで

『燃ゆる女の肖像』を鑑賞(通算3回目)、

サンタモニカのアークライトでは、

ジュリア・ガーナー主演『The Assistant』を、

シャーマンオークスのアークライトでは、

『The Photograph』と『Fantasy Island』を観ました。

 

ハリウッドのアークライトは、封切り初日などに

監督や主演俳優のQ&Aも頻繁に行われていて、

ロビーには新作映画の撮影で使用された衣装なども

常に展示されていました。

 

マンズチャイニーズ・シアターが観光スポットに

なってしまい、映画ファンのための

ハリウッドの真のハートを担っていたのが

アークライトだっただけにあまりにも大きな損失ですし、

これはハリウッドの、映画興行というビジネスの

大きな転換期になってしまうでしょう。嗚呼。

 

AMCとLOWESというアメリカの二大チェーンは

まだかろうじてサバイヴできているようですが、

全米中にチェーンを拡大しているアラモドラフトハウスも

苦戦しているようで、アメリカの映画館の

行く末が案じられます。