韓国のエクソシズム・アクションホラー『ディヴァイン・フューリー/使者』 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

今日取り上げるのは、

パク・ソジュン主演のアクションホラー

『ディヴァイン・フューリー/使者』

 

 

総合格闘技の世界チャンピオン、ヨンフは

子供の頃に父を職務中の事故で失って以降、

神への信仰心を失っていた。

彼はある日、自分の右手に謎の傷ができているのを

見つけたことを機に、

バチカンからやってきた神父と出会い、

自分に隠されたスペシャルな能力に目覚める。

 

即席の悪魔祓い師弟コンビが悪魔と戦う

アクションホラーサスペンスである。

 

同様のテーマを持つ韓国映画として、

『パラサイト 半地下の家族』のパク・ソダムが

悪魔に取り憑かれた少女を坊主頭で熱演した

『プリースト 悪魔を葬る者』(2015)があったが、

あの作品はわりとストレートなホラー色の濃い

エクソシズム映画だったのに対し、

『ディヴァイン・フューリー』は、

ミクスチャーで振り幅の広い、

多様なジャンル映画に昇華されている。

 

幼い子供から女性まで、ヴァラエティに富んだ

悪魔に取り憑かれた者たちが大暴れする様は痛快で、

クライマックスでは『シェイプ・オブ・ウォーター』の

影響を受けたかのような、ちょっと見た目が

気持ち悪い半魚人風の悪魔も登場する。

 

大らかな人格者である神父とファイターの、

擬似の父子のような、二人の師弟関係の絆を軸にした

ドラマもパワフルで、非常に丁寧に繊細に描かれている。

韓国映画らしいアクションとユーモアも、

バランスよく挿入される。

なかなかの佳作である。

 

監督キム・ジュファンの前作でパク・ソジュン主演の

『ミッドナイト・ランナー』も観たが、

こちらはダークな社会派クライムサスペンスに

爽やかでコミカルな友情ドラマを融合した、

なんとも不可思議なバランスの、

韓国映画でしか成立しない娯楽性がある

映画に仕上がっていたのであった。

 

『ディヴァイン・フューリー/使者』は

8月14日日本公開予定です。