全米のドライブインシアターでヒット中!魔女ホラー『The Wretched』レヴュー | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

北米ではIFCミッドナイト配給のホラー映画

『The Wretched』を鑑賞。

 

 

両親が離婚したばかりのティーンエイジャー、

ベンは、傷心のまま一夏を過ごすために

父親の住む町にやってくる。

船着場でバイトをし、同世代の若者とパーティをし、

父親と一緒に過ごし、それなりに悪くない休暇を過ごす。

が、そこで彼は、隣人の身体を乗っ取った1000歳の

邪悪な魔女の正体を見破り、対峙することになる。

 

田舎町を舞台にした、のどかなサマーヴァケイション

青春映画が、魔女クリーチャーホラーに転身!

秀逸なスペシャルエフェクトによる血みどろゴア描写も

なかなか鮮烈で楽しく、場面転換のショットを含む

全編の映像もなかなか美しい。

 

その一方、やや間延びする場面も散見されるし、

サスペンスを牽引する緊迫感も時に薄い。

また、ティーンホラーに定石の主演二人の

ロマンスはケミストリーがイマイチなのも残念

(ヒロインがあまり可愛くない。美女は出演しているが)。

 

『ボディ・スナッチャー』や『裏窓』、

『パンズ・ラビリンス』に『ディセント』などを

彷彿とさせる、あまり魔女映画らしくないホラーだが、

怪しげなフォークロアの芳香は魅惑的だ。

 

昨年のカナダ、モントリオールの

ファンタジア国際映画祭やイングランドの

フライトフェストで話題になった作品ですが、

超低予算の無名監督&無名キャストの

ジャンル映画としては、上出来ではないでしょうか。

 

同じく、先日アメリカでVDOリリースされた、

一部では評判が高い『1BR』という

低予算ホラーが駄作だったこともあり、

なおさら良く感じられます。

 

この作品は、LAの新居に越してきた若き女性だったが、

その集合住宅は極悪なカルト教団が支配していた!

というアイディアは悪くないのですが、

キャラクター造形もストーリーも薄く中途半端で、

まったく説得力に欠けるチープな映画でした。

同じくLAを舞台にカルトも絡む、アレックス・エソー主演の

『Starry Eyes』(邦題「セーラ 少女のめざめ」)

のほうが100倍強烈です。

 

『The Wretched』は

アメリカではVODと同時に、各地のドライブインシアターで

公開になり、Box Office Mojoが発表している

週末ランキングで1位に輝いてます。