TPP問題と社会保障(3) | 社労士のたまご 

TPP問題と社会保障(3)

昨日の続きです。

ところが、外圧だけでなく、国民皆保険の緩和に向けて日本国内で着々とお膳立てが進んでいるのです。

安倍首相は、国民皆保険の堅持を訴えています。

しかし、野田政権当時、社会保障と税の一体改革関連法案の一つに、社会保障制度改革推進法というのがあります。消費税増税のどさくさに紛れて、あまり話題に上らなかった法律です。内容は、医療をはじめとする社会保障のあり方を見直すことを目的としたものです。

実はこれ、国民皆保険が崩壊し、必要な医療が受けられなくなる危険を孕んでいます。

これまでの医療制度改革の文書では、どんなときも「国民皆保険の堅持」という言葉が使われ、時の政府も国民皆保険を支持していました。ところが、社会保障制度改革推進法では、この言葉が消えて「医療保険制度に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持するとともに」という言葉が使われているのです。

「原則として」という言葉。官僚が好んで用いる言葉ですが、たった5文字が加わるだけで、解釈が大きく異なります。

法律条文で「原則」が加わると、例外が必ずあるという解釈になります。

「いつでも、どこでも、だれでも」よい医療を受けられる、という理念が水泡に帰すことにも繋がりかねません。

更に、具体的な改革として「医療保険制度については、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図ること。」とあります。

「適正化」とは、官僚言葉で言うと「削減」「縮小」と解釈します。

想定されることは、

①健康保険の適用範囲の縮小。有効性や安全性が認められても費用の高い医療技術や薬は健康保険を適用しない

②免責制度の導入。たとえば、1回の医療費が5000円以下は健康保険を適用しないなど

③高齢者の医療では、本人や家族が望んでも、健康保険を使った終末期の延命治療を一切行わない

④健康保険が適用される薬はジェネリックで、同じ有効成分の先発薬を使う場合は差額が自己負担になり、選択肢が狭められる

などなど。

財政健全化のために4月1日から増税が実施されました。これは致し方ない部分もあります。

ただ、世界に冠たる国民皆保険制度の崩壊する足音が、なぜかひたひたと聞こえてくるのです。


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