TPP問題と社会保障(2) | 社労士のたまご 

TPP問題と社会保障(2)

昨日触れたとおり、日本は、改革、改革といっても、アメリカはんがイニシアティブを取って裏から糸を引いてはるんです。

2012年衆議院選挙の際、自民党は政権公約におけるTPPの6条件を提示していました。

1.政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2.自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3.国民皆保険制度を守る。
4.食の安全安心の基準を守る。
5.国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6.政府調達・金融サービス等は、我が国の特性を踏まえる。

.は純粋に関税の問題です。2.~6.に至っては、非関税障壁の問題です。
これで分るように、TPP問題は関税の問題ではなく、非関税障壁の問題が中心です。

日本が一旦交渉の場に上った限り、アメリカはんの言うことを聞かなくてはなりません。アメリカ合衆国51番目の州である日本としては仕方のないことなんですね。

さて、ここで、社労士の領域の問題(直截的でないにせよ)は国民皆保険制度がどうなるか、ということです。

国民皆保険とは、国民誰もが何らかの公的医療保険制度に加入することになっている制度です。

サラリーマンとその家族は、健保組合もしくは協会けんぽに加入する。公務員は共済組合に加入する。自営業や無職の世帯も市町村国民健康保険に加入する。これらが義務付けられると同時に、病気や怪我をした場合には、「誰でも」「いつでも」「どこでも」必要で適切な医療を受けることができます。

日本医師会は、国民皆保険を堅持するための3重要項目を提示しています。
1.公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること
2.混合診療を全面解禁しないこと
3.営利企業(株式会社)を医療機関経営に参入させないこと

一方、TPPでそんなアメリカが要求してくるであろう項目は、
第1段階 現行の医薬品・医療機器の価格規制の撤廃・緩和
第2段階 医療特区に限定した株式会社の病院経営と混合診療の原則解禁
第3段階 全国レベルでの株式会社の病院経営と混合診療の原則解禁

混合診療の全面解禁、医療機関の株式会社算入が進展していくと、国民皆保険が揺らぐ可能性があります。
国民会保険制度が損なわれれば、マイケル・ムーア監督の映画「SICKO(シッコ)」に描かれているようなアメリカの姿が、日本で再現されるのは当然予測されます。
国民会保険制度がないアメリカでは、民間の医療保険に頼らざるを得なくなります。高い掛け金や持病で加入できない人が続出し、また保険に入っても保険会社が何だかんだと難癖をつけて保険金を払わない事態が日常茶飯事のように生じています。

混合診療とは、保険診療と保険外診療(自由診療)の組み合わせのことを言います。
保険診療と保険外診療を併用した場合は保険診療分も含めて、全く保険が適用されなくなり、全額自己負担となります。

現在日本では、混合診療が原則禁止されています。ただし、例外はあります。
それは、評価療養と選定療養からなる保険外併用療養費制度というものです。
公的医療保険が適用されない高度先進医療でも、評価療養と認められれば、先進医療部分は自己負担ですが、保険診療との併用が可能になっています。

混合診療が解禁されると、自在に価格を設定できる自由診療が基本となり、外資の民間保険加入者と未加入者との間で医療格差が広がることも考えられます。

従って、国民皆保険制度は何とか堅持してほしいものです。

ところが・・・



この続きは、また明日。



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