【Bunnmei blog】

 

欺瞞に満ちたゼレンスキー・サミット

 

ウクライナの平和サミットについてウクライナの大統領府長官は、「大きな成功を収めた」と述べ、サミットで採択された共同声明に「多くの国が支持を表明した」と語り、ウクライナ戦争の正当性について理解を得たと成果を強調しました。当然、ロシアの侵略は糾弾されるべき蛮行です。

 

しかし、この偽りの平和サミットは、G7諸国などが、ロシアやそれを裏から支持・支援する中国や多数のグローバルサウスらを分断排除する企図であったと言えます。「平和」のために開かれたのか大いに疑問です。むしろ新冷戦を煽る可能性のあるイベントでした。それを察知した多くのグローバルサウス諸国も参加しませんでした。

 

米国を中心とするG7グループは、中国に対するデカップリング=中国封じ込め、すなわち新冷戦の一環として「平和サミット」を利用しようとしました。このような下心が見透かされたのです。

 

共同声明では、ウクライナを含む全ての国家の主権や領土保全の原則を再確認し、核兵器による威嚇は許されないことなどを明記しました。また、ウクライナの原発を同国の管理下に置く、ロシアによる核兵器使用やその威嚇を禁止する、不法に連れ去られたウクライナの子どもたちや民間人を帰還させるなどの項目が盛り込まれました。当初のウクライナの十項目では到底受け入れられないので、サミットは当たり障りのない誰もが賛同しそうな三点に絞られましたが、ウクライナやG7の下心が消え去ることはありません。

 

ウクライナとそれらを軍事支援し、ウクライナ戦後復興には自国資本の有力な投下先とみなしてきたG7勢力から見れば本音では「失敗」であったでしょう。

 

■むしろ「戦争継続サミット」

 

そもそも「平和サミット」と言うのであれば、戦争や紛争の双方のトップが最低でも出席し話し合う必要があります。ロシアは事実上排除され、それを見て中国は参加しなかったため、サミットがウクライナに平和をもたらす効果はゼロです。また、サウジアラビア、インドやブラジルなどは共同声明に賛同しなかったとの報告もありますが当然です。もちろんロシアや中国を招き入れても、現段階では「平和」を前進させることは困難でしょう。

 なぜなら、ウクライナ国民に対するロシアの侵略主義の脅威は勿論として、ウクライナ国民の権利を抑圧し続け、農民、労働者、兵士の利益を欧米資本に売り渡しているゼレンスキー政権の裏切りが何ら問われていないのですから。このような政府が中心となって「パートナー」のG7諸国と主催する会合を世界の人々は支持しないし、すべきではありません。

 

ゼレンスキーやG7諸国の真の目論見は、むしろ平和ではなく「ウクライナ戦争の継続」体制を構築するために、G7諸国以外にも支援の輪を広げることでしょう。すでにウクライナの債務は1000億ドル超に達しています。戦争に群がる金融資本 G7はウクライナ債務を放棄すべきです。ところがゼレンスキーや彼らを支援する国内勢力「人民のしもべ」らは現在と未来にわたるウクライナ人民の利益を欧米資本に売り渡し、その代わりに軍事支援・金融支援を継続することを求めているのです。そして、国際サミットでウクライナの戦争とそれを指揮する政府の「正当性」を印象付けより広範な戦争資金援助を獲得しようとしたのです。

しかし、上記したように、こうした面でもこのサミットは成功しませんでした。(了)

 

 

平和サミット共同声明、全会一致ならず ゼレンスキー氏は「理解」

 (msn.com)

 

スイス中部ビュルゲンシュトックで開かれた「世界平和サミット」閉幕後、記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領=2024年6月16日、ロイター

スイス中部ビュルゲンシュトックで開かれた「世界平和サミット」閉幕後、記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領=2024年6月16日、ロイター© 毎日新聞 提供

 

 ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナの和平案を協議するスイスでの首脳級会合「世界平和サミット」の閉幕後に記者会見し、共同声明を約80カ国が支持したことについて「重大な結果だ。大きな成功だと信じている」と評価した。全会一致とはならなかったが、それぞれの立場や意見の違いを踏まえ「理解できる」と述べた。

 サミットには92カ国と8機関が参加していた。中立的な立場を取るインドやサウジアラビアは共同声明に加わらなかった。

 16日に発表された共同声明では、「武力で(他国の)領土の一体性を脅かしてはならない」という国際法上の原則を確認。ロシアが占領するザポロジエ原発をウクライナ管理下へ返還するなど核の安全確保▽食糧安全保障を脅かさないこと▽捕虜の交換と連れ去られた市民の帰還――などを求めた。