阿部 治正

 

英国ではリシ・スナクが解散総選挙に打って出、フランスでもマクロンが選挙を決断しました。欧州の二つの大国で行われる選挙の行方を左右するのは、労働者民衆の動向です。6月8日にロンドンで行われた大規模デモの参加者の生の声を拾ったインタビュー記事をご紹介します。

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■「選挙中も行進を続ける」: ロンドンで17万5000人がパレスチナの行進に参加

総選挙キャンペーン最大の積極的動員

2024年6月8日(土) 2809号

選挙でパレスチナを争点にしたいが、選挙だからといって街頭でのアジテーションをやめるわけではない。これが、土曜日にロンドンで行われたパレスチナのためのデモ行進の幅広い参加者の雰囲気だった。

そして、多くのデモ参加者は、労働党のキーア・スターマー党首への怒りから、労働党ではなく、無所属か緑に投票するという。

午後4時の時点で、主催者によれば行進の参加者はおよそ175,000人。前回より若干少ないとはいえ、非常に大規模なデモ行進であり、選挙戦最大の積極的な動員であることは間違いない。参加者の数は、どの政党の投票依頼チームよりも多い。

このデモは、たとえば人種差別主義者のナイジェル・ファラージに注がれるメディアの注目の1パーセントも集めることはできないだろう。しかし、この運動が7月4日の投票中と投票後にエスカレートすれば、政治を変え続ける力を持つ。

労働者民衆のデモは、保守党を追い出し、労働党のスターマーに圧力をかけることができる。ダウニング街10番地(首相官邸)の主が誰であろうと、変化を主張し、現在欠けているはるかに大きな社会主義勢力の構築に貢献することができる。

デモの中には、インティファーダと革命を声高に唱える大規模な学生ブロックがあった。いくつかの異なる野営から学生の横断幕が掲げられていた。

大規模な「パレスチナのためのクィアーズ」ブロックがあった。運動の広がりは、ユナイト、ユニゾン、UCU、CWU、その他の組合、労働協議会、医療労働者のグループからの横断幕や代表団を含む労働組合のセクションにも表れていた。

また、「自由なパレスチナのためのガーデナーズ」や「自由なパレスチナのためのスケーターズ」も行進した。

「アルアルクサの友」で働くシャミルは言った。「私たちは政府に圧力をかけるためにここにいます。国会議員たちは大衆の代表ではありません。政治家たちはいつも、不正に対して最後に反応するものです」。

そしてシャミルは、「パレスチナについて私たちを代表する人たちが国会に出ることを望んでいる」と主張した。「英国のほとんどの人々は停戦を望んでいる。重要なのは、“国会議員はガザのために立っているのか”ということだ。私は、正義を代表する人たちが国会議員になってほしいのです」と。

ロンドンから来た議会で働くシャーミンは言った。「選挙はパレスチナ運動の焦点です。政治家が私たちを代表しているかどうかが試されるのです」。「私たちのシステムは、弱者を搾取する不正なシステムの一例です。 資本主義は、誰が大統領になっても同じように機能する。私たちは本当の民主主義の中に生きていない」。「私は無所属で投票するつもりです。それが私が正真正銘投票できる唯一の方法なんです」。

ジェームズはタンブリッジ・ウェルズの労働者で、全国規模のデモには毎回参加している。彼は「パレスチナに関して、主要政党を区別するものは何もない。大多数のイスラム教徒は幻滅しているだろうが、それが労働党にダメージを与えるかどうかは疑問だ」と語った。「労働党が唯一実現可能な野党だとしたら、あなたはどこへ行くのか?」

しかし彼は、総選挙でどちらが勝とうとも、この運動は「私たちの目がイスラエルに向けられていることを世界に思い起こさせるために、私たちの存在感を示さなければならない」と付け加えた。

シェフィールドからパレスチナ連帯キャンペーンのバスに乗った人々は、選挙について語った。

教師でNEU組合員のシェリーン・カミルは言った。「私はこれまで労働党に投票してきました。でも、ここ数年の活動によって、私はもう労働党には投票しないでしょう」。「政治家たちはパレスチナを議題から外そうとしていますが、巨大な運動が動員され、消えることはありません」。

シェフィールドのダビンダーは言った。「コービン(前労働党党首)がついに無所属で立候補したのは本当にいいことだ。おそらく初めて緑に投票するだろう」。「でも、選挙が終わっても、パレスチナのために抗議し続けるでしょう」。

デモについてイブラヒムは言った。「私はパレスチナを支持する人に投票します。私はパレスチナのために抗議し続ける」。

ロンドン北部に住むマリーナは言った。「労働党も保守党も選挙に値しない。私たちは議会に道徳を強制する必要があります」。

労働党に投票すると公言するデモ参加者はそれほど多くなかった。スターマーがイスラエルの大量虐殺政策を支持していることを考えれば、それも当然だろう。

デモ参加者のローラは言った。「保守党は政府から追い出されるべきだ。そうすれば、労働党に投票することになるかもしれない」。

しかし彼女は付け加えた。「労働党のスターマーは大量虐殺に加担しており、たとえ労働党に投票したとしても、人々はその事実を忘れてはならない」。「私は大量虐殺に加担する政党には投票しないので、パレスチナに対するスタンスからグリーン候補に投票するでしょうが、労働党に投票したい人の気持ちも理解できます」。

出版業界で働くエロイーズは、イースト・ロンドンに住んでいる。「人々は労働党に心を痛めていますが、私たちはもう4年間も保守党の支配を望んでいません」と彼女は言った。

しかし、彼女が望んでいるのは、現在の選択肢の少なさ以上のものだった。

ロンドンの弁護士であるアビッドは、コベントリーのザラ・スルタナのような労働党議員を尊敬していた。しかし、彼は言った。「人々は労働党が2つの悪のうち少ない方だと言うかもしれない。でも、私は労働党には投票できない」。「戦争犯罪を正当化した人物であることに変わりはない。基本的人権を支持する無党派層に投票する方がマシです」。

ロンドンからのデモ参加者、キャロラインは言った。「今回の選挙は、あまりにポーズが多すぎると思う。投票よりももっと重要なことがある」。「ガザであれスーダンであれ、私たちが直面している問題に対処するためには、選挙に代わるものが必要です」。「昨夜のTV討論会を少し見たが、消した。政治家同士がやりあっているだけだ」。

パレスチナ運動は、選挙討論を捉えなければならない。しかし、投票をめぐる議論に夢中になることは、運動とその戦闘性を高め、労働者階級により深く浸透させるという、より大きく、最も緊急な課題から目をそらすことになるだろう。

▼社会的爆発の記録

ロンドンでのパレスチナ全国デモ

10月14日:15万人

10月21日:30万人

10月28日:50万人

11月11日:80万人から100万人

11月25日:30万人

12月9日:12万人

1月13日:50万人

2月3日 225,000

2月17日 250,000

3月9日: 450,000

3月30日: 200,000

4月27日: 200,000

5月18日 250,000

6月8日 175,000