袴田事件再審公判が結審 『巌を人間らしく過ごさせて下さい』



 5月22日袴田さんの再審公判が結審、予想どうり検察は死刑を求刑した。公判がながびいた為、終了後の記者会見は通常よりやや遅れた。

 死刑求刑に対する意見を問われひで子さんは「聞こえない(無かった)」と答えた。弁護団としても事前に死刑求刑には一斉に抗議する予定だったがその機会を逸するほど「聞こえない」ものだったのだろう。

 昨年10月に始まった15回の再審公判には「心神喪失」のため巌さんの姿はない。本来ならばその法廷で“声の限りに無実を叫ぶ”機会を奪われた。精神に取り返しのつかないダメージを与えてしまった司法の罪は重大だ。

 間弁護士いわく検察の論告は終始、大事な事実に目を向けず、細かい事実を大きく取り上げもっともらしく主張する姿勢で、不毛だと発言。

 昨年3月、そして10年前にも2度の再審開始決定つまり「無実を言い渡すべき明らかな新証拠」が認められた上での再審決定である。

 検察は有罪を主張するなら、それを言い渡すべき「明らかな証拠」を示すべきだったが、ほとんど失敗に終わっている。

 ひで子さんは穏やかにきっぱりと「巌は無実だから無罪」と発言した。

 30歳だった青年は今、88歳。多くの支援者と共に無罪判決を待ち望む。

 判決は9月26日午後2時静岡地裁。 (澄)