阿部 治正

 

昨日は、「共同テーブル・ちば」の懇談会。5月13日に取り組んだ千葉県当局への幕張メッセを国際武器見本市に貸し出すなという要請、オスプレイの木更津基地への配備に反対する活動、毎月一回行っている千葉駅頭での「新しい戦前にさせないキャンペーン」等々について話し合いました。特に、幕張メッセで開催予定の国際武器見本市、DSEIジャパンは、千葉県民にとって大変に深刻な問題です。この取り組みについての簡単な報告文書をご紹介します。

■幕張メッセを国際武器見本市に貸し出すな!

5月13日、社民党など4団体は、千葉県当局に対して来年の5月に幕張メッセで開催が予定される国際武器見本市、DSEIジャパンに幕張メッセを貸し出すなという要請を行いました。

千葉県は、イスラエルのエルビット・システムズをはじめとする国際的に名だたる軍需企業が多数出展し商談をするこの武器見本市を、よりにもよって「福祉目的だ」「千葉県の産業振興に資する」など理由でこれまでも許可し、来年もまたそうしようとしています。

 

「福祉目的」などという理屈が完全に破綻していることは誰でもわかること。「産業振興に資する」という理屈も、「軍拡の不経済」という道理を知らない完全に誤った理屈です。

 

「軍需産業によって多くの雇用が生まれ、それに伴う消費や投資が経済全体を活性化させる」などと言われます。しかし、軍拡のために費やされる資本や国家財政=税は、実際には経済の活性化に貢献することはできません。それらの財は民生部門に投資されてこそ、消費や投資そして技術革新への波及効果も大きく、経済全体の活性化に効果を発揮します。冷戦時代の米ソの激しい軍拡競争は、双方に大きな経済的負担と犠牲を強い、だからこそそれが終わったのちに経済は一定の活力を取り戻したことはよく知られている通りです。相手陣営が軍拡を進めている時には、他方も対抗上同じ行動をとりがちですが、その競争が終わった時には双方ともにこれで経済に力を割くことができると安堵したのです。

 

だからこそ、バイデン大統領でさえ、そしてトランプはより強く、米軍事力をNATOや日本等々に肩代わりさせ、自らの軍拡負担を減らそうとしているのです。大きな軍需産業を持つ米国やイスラエルなどの経済が強く見えるのは、軍需の貢献によるものではなく、軍需以外の民生や諸産業分野の規模、そこでの経済活動の効果です。これらの国々は、負担の大きい軍需にもかかわらず、国際基軸通貨を握っている事やITや金融の力などで経済の好調をかろうじて実現しているのです。兵器を売ればカネになる、輸出国にとっては利益だというのは事実ですが、それは軍事という不経済の重荷を国外に、さらには人類全体に転化しているだけの話。つまり人類への犯罪行為です。

 

「経済不況のときは軍需支出が有効な経済政策として機能する」というのは悪名高い軍事ケインズ主義の理屈です。しかし労働者・市民にとっては、そこで刺激される需要とはいったいどういう内容かこそが重要です。兵器などが実際に使用された場合、それは人を殺傷し生産基盤を破壊する戦争です。また使用されなければただの滞貨物、経済と社会の巨大なお荷物となります。経済の表面上の「活性化」や「景気上昇」、つまり企業の帳簿上の売上げや株価の数値の上昇を一時的にはもたらすかもしれませんが、その裏では社会が本当に必要としている富の生産とその消費の衰退を生み出さざるをえないのです。

 

そもそも軍需部門が生み出す生産物、戦車やミサイルや空母や潜水艦は、企業の生産過程に入っていきません。そこで再生産を拡大していく役割を果たすことはないのです。逆に、その規模が大きくなればなるほど、本来の富の再生産活動を圧迫し、その重荷となり、それを委縮させることにならざるをえないのです。

 

熊谷県政は、4度も「死の商人」の血塗られたビジネスのお先棒を担ぐのか。私たち県民はそれを許すのか。国際武器見本市、DSEIジャパンの開催は、必ずストップさせなければなりません。

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