【Bunnmei blog】

 

ウクライナ戦争で儲けてきたのが、米国の軍産複合体、とりわけロッキード・マーチン、レイセオン・テクノロジーズらの軍需産業です。

しかし、今ではウクライナの「戦後投資の重要性」に気づいて関心を示す企業は増大しています。米国のブラックロックなどは金融「支援」と言う形での進出計画に乗り出しています。日本の企業も政府が音頭を取ってウクライナ支援という投資計画を準備しています。

 

■ロシアばかりではない
 欧米日の資本が「舌なめずり」するウクライナの国土・国民

 ロシアの蛮行に対して、各国政府や大企業はウクライナを何らかの形で支援しています。この勢力つまり欧米日政府のような資金や技術を持ちウクライナに新たな商品市場や投資先を見出そうとする勢力です。すでに米欧諸国は軍需産業や軍隊と連携して大量の武器の提供をしています。各国の軍産複合体は米国を頂点として莫大な利益を上げたはずです。一部無償もありますが、それ以外はウクライナの債務になっています。

 そのほかにも金融支援があります。ウクライナは戦時のため財政危機で公務員の賃金や社会保険の支払いに苦慮しているのです。その結果国際的な金融組織が絡んで膨大な債務をウクライナの人々の肩にかぶせています。米国金融資本のブラックロックなどはウクライナ人の借金を手玉に取って戦争で打ちひしがれている人々から長期的利益を目指しています。

 ブラックロックは、ウクライナの再建に必要な資金調達を支援しています。具体的には、ウクライナ政府への融資、ウクライナ企業への投資、ウクライナの復興債の発行などで50億ドルの融資を計画し、長期にわたる金融ビジネスの定着をもくろんでいます。「大企業が舌なめずりするウクライナの戦後復興」(jacobin参照)。

 また日本の場合、殺傷武器支援はさすが憲法や平和運動を刺激するので実施されていませんが、ウクライナ復旧計画なるもので資本の投下を目指して準備しています。クボタとヤンマーホールディングスは農業分野でのウクライナ復興に参加しています。ウクライナの基幹産業である農業基盤の回復に貢献を謳っています。住友商事と川崎重工業はガス輸送の近代化の支援のほかにウクライナの被害を受けた電力・交通インフラの整備に関与を狙っています。企業にとって戦争は金になり焼け跡も投資のうってつけの場所なのでしょう。

■新自由主義的国家建設の為にする対ロシア戦争を拒否しよう

 ウクライナがソ連解体(1991年)の後、東欧やロシアのように欧米資本の急激な流入を避けてきたという歴史的事情があります。10年ぐらいの混乱の後ウクライナはロシアの周縁国としてロシアの資本と強い政治的影響下に置かれてきました。しかし、ソ連解体後のウクライナの経済・政治状況は経済開発と言うよりは農民の「小土地所有」への移行以外は従来の「ソ連型」経済の土台のまま財閥体制が出来上がり保守的で官僚的な停滞的社会となっていました。しかしその後のマイダン革命やロシアによるドンバス占領などへの反発により次第に世論は若者を中心としてEU側に傾いてきました。

 こうした経過からウクライナでは資本の近代化が進んでおらず、欧米日からは新たな資本の投下先としての可能性がおおきいと「期待」されています。人口も多いし農業から鉱工業までグローバル資本から見れば投資先として魅力的なのです。これらが欧米日資本がなぜ「舌なめずり」するのかと言う理由です。
  
 そしてこのような西欧の動きは当然ゼレンスキー政権の政治路線、つまり積極的な新自由主義的労働政策と外資導入、対欧米連携政策の推進の基盤となっています。欧米諸国からそれなりの待遇でゼレンスキーが歓迎されるのは、まさに彼らのパートナーとみなされているからです。ゼレンスキーが最高司令官として指導するロシアとの戦争は、まさにこのようなものなのです。ゼ政権はこのようにしてロシアとの戦争と一体のものとして国内の労働者抑圧を推し進めているのです。

 戦時ウクライナの体制や法律はますます新自由主義の貫徹すなわち労働者の権利の抑圧として打ち固められつつあるのです。「政府が発表したウクライナ「新労働法草案」は、戒厳令下における労働者の権利に対する最大の攻撃だ!」(ウクライナ社会運動2024/01/18)

■戦争とは形を変えた階級闘争だ

 「戦争」とは国と国とが、例えばウクライナ兵とロシア兵が武器を使って領土の取り合いをする・・と言うものではないのです。そのような理解は捨てるべきです。ウクライナ戦争の軍事戦略や戦術そして戦況などがテレビで毎日流されてきますが、それは表層的な問題です。

 そうではなく、戦争の深い歴史的意味は戦争を通じていかなる社会の形成につながるのか、と言う問題なのです。どの階級が台頭し新たに優勢になるのか、どの階級が没落するのかの争いなのです。だから、戦争は領土領域を争う形を取りつつも階級対立とその闘いの一つの延長部分なのです。つまりウクライナ民衆から見れば、敵はロシア兵やシロビキ・財閥などの支配層であるばかりではなく、ウクライナ国内の財閥や新自由主義階級、官僚・ゼレンスキーらです。ウクライナ人民の敵は自国内にもいるのです。繰り返しますが労働者はこの戦争の中でロシア兵ばかりではなくゼレンスキー国家と与党「人民のしもべ」から激しく攻撃され続けています!
  
 プーチンから見れば「大ロシアからのウクライナの離脱(欧米資本の流入)」をロシアは武力で引き留めたい(領土確保)のでしょう。かくしてドンバス軍事占領とウクライナへの全面侵略が開始されました。プーチン7月論文に従えば、ウクライナ全体を服属させウクライナ人民を支配収奪する決意なのです。

 一方ゼレンスキー政権の下においては、すでに論じてきたように対ロシア戦争が戦時体制も戦後復興も新自由主義による社会経済の建設を展望するレールの上で実行されています。ゆえに必然的に戦争体制の内部的軋轢が進んでいます。ゼレンスキー政権と与党「人民のしもべ」は次々と労働者の資本への屈従を法制化してきたのです。このため、階級対立は戦時体制にもかかわらず、あるいはそれゆえに増々先鋭化しつつあります。
 
 ロシアの財閥資本と官僚主義・軍閥が勝利するのか、それともウクライナの財閥資本やゼレンスキーら新自由主義ブルジョア階級が勝利するのかとしてこの二年間戦争は遂行されてきました。しかし、ウクライナ人民にとってロシア軍との戦争はゼレンスキーや国内の財閥資本や官僚体制との闘と表裏一体にならざるを得ないのです。これからの戦争で肝心なことはウクライナの労働者階級が(でき得ればロシアの労働者と連帯しつつ)この両者に戦いを挑み、歴史にその存在を刻み新たなる社会への土台を打ち固めることが出来るかです。そのような運動に高められるのかの分岐点にいます。

 ロシアの支配と西側資本の支配の両方を拒否しよう。ウクライナの左翼はゼレンスキー政権と決定的に決別し労働者を組織扇動しなければなりません。二つの敵と闘うために!(了)

 

 

ウクライナ支援、「日本と共同事業」条件に

…農業・脱炭素化など7分野で最大15億円補助 

(msn.com)

 

政府は、ウクライナに対する復旧・復興支援について、日本とウクライナ両国の企業が参加する共同事業とすることを支援の条件とすることを決めた。農業や脱炭素化など7分野が対象で、1件あたり最大15億円を補助する。復興支援だけでなく、日本企業の事業拡大にもつなげたい考えだ。6月上旬にも公募する。

ウクライナのシュミハリ首相(左)と握手する岸田首相(2月19日)=黒瀬祐生撮影

ウクライナのシュミハリ首相(左)と握手する岸田首相(2月19日)=黒瀬祐生撮影© 読売新聞

 

 復旧・復興資金の総額は260億円で、2023年度補正予算に計上されている。国連の専門機関「国連工業開発機関」(UNIDO)を通じて支援する。

 

 補助の対象は、日本企業が高い技術力を持つ農業やDX(デジタルトランスフォーメーション)、水素・アンモニアなどグリーン燃料、遠隔医療など7分野。衛星データを活用した小麦などの農産物の生産性向上や、農業廃棄物を活用した化学品の製造、インターネット技術の導入などを想定している。

 日本企業から事業提案を募る。夏頃に約30社を選び、ウクライナでの市場調査やビジネスモデルの検討など事業化の検証を始める。企業は現地で実証実験を行うなどして、事業化に取り組む。

 

 ウクライナ企業との協業を条件とするのは、ウクライナの自律的な復興や経済成長を支えるためだ。日本企業にとっては、新たな技術の活用や欧州など海外展開への足がかりになる。UNIDOは日本企業とウクライナの企業・団体をつなぎ、助言なども行う。

 

 ウクライナ支援を巡っては、東京で2月に初めて開催された日ウクライナ経済復興推進会議で、日本企業がウクライナの政府機関や企業と計56件で協力することに合意した。欧米諸国の「支援疲れ」が指摘される中、日本が支援継続の重要性を訴える狙いもある。