【Bunnmei blog】

 

「物価と賃金の好循環」などは真っ赤なウソ 

 

アベノミクスという政策が、円安政策でしかありませんでした。円安政策とは労働力の安売りにほかなりません。労働力を実質よりも低く評価させ、その分海外では「安い割に良い製品」と見せかけることができます。この結果輸出関連企業は増益を実現しました。

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しかし、労働者は勿論のこと中小企業も含めた国内産業を考慮に入れることのない、輸出大企業、例えばトヨタなどの自動車産業の為にする偏った政策でした。その政策は現在まで実質的に継続されています。しかも今や円安は制御不能なぐらい深刻化しています。その結果、労働者の作り上げた製造物が安く国外に流れ、海外の原油などのエネルギーや食料品、その他消費財は実態よりも高く買う他はなくなるのです(輸入インフレなどと言われます)。

つまり、一部の輸出産業(トヨタなど)のために、国民は大きな損失に見舞われてしまうのです。

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アベノミクスの司令塔である黒田総裁(当時)は「円安断行」のために金利下げ(異次元の金融大緩和)、国債爆買いを続けたわけです。しかし、輸出産業に一定の利益をもたらしたが、労働者庶民は実質所得の低下は日々明らかです。すでに30年間の傾向的な実質賃金の低下に加え、ここに来て24か月連続で実質賃金が低下しています。これは世界史的に見ても異例中の異例です。「物価と賃金の好循環」などは真っ赤なウソです。

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輸出企業を中心にした企業の儲けですが、しかし、それが労働者までトリクルダウンすることはありません。わずかなおこぼれ賃上げもインフレによって帳消しされ続けてきました。企業がそのもうけを十分に賃金に転嫁せず、株主などに分配したからです。そのことによって株価の上昇を狙ってきました。労働分配率は資本との闘争でしか上げることができないのです。

 

このように、労働者はインフレによる所得の実質的目減りを補填することなく、実質賃金の低下を強要され続けています。(了)

 

 

物価上昇しても賃金にほとんど回らず、大半が企業収益に GDP分析

 (msn.com)

食品スーパーの精肉売り場=2023年12月、東京都練馬区

食品スーパーの精肉売り場=2023年12月、東京都練馬区© 朝日新聞社

 

 2023年度に相次いだ値上げによる物価上昇は、多くが企業収益となり、賃上げにはほとんど回っていないことがわかった。国内総生産(GDP)の物価動向を示す「GDPデフレーター」などから、朝日新聞社が算出した。昨年の春闘で賃上げ率は30年ぶりの高水準となったが、専門家は「結果的には、もっと賃上げができた」と指摘する。

 

日本のGDPデフレーターの推移と要因

 

 「GDPデフレーター」は、消費者物価指数とは違い、原油など輸入コストの上昇分は含まれず、国内に起因する物価の値上がり分のみを算出できる。23年度のデフレーターは前年度比4・1%上昇し、伸び率は比較可能な1981年度以降、最大となった。

 

 値上がりした分が賃金にどう回ったのかをGDPデフレーターから計算したところ、23年度の上昇分(4.1%)のうち、賃上げ要因は0・3%分にとどまった。割合では1割に満たない。残りが企業収益で、このなかには固定資産の減価償却分や間接税も含まれるが、「大半は企業収益と考えられる」(エコノミスト)。実際、24年3月期決算で、上場企業の純利益の総額は3年連続で過去最高となり、値上げが利益を押し上げた企業も多かった。

 

 背景には原油価格が下落するなど輸入物価が落ち着くなかでも、企業が過去のコスト上昇分を転嫁するなど商品の値上がりは続いたことがある。たとえば、帝国データバンクの調査では、食品メーカー195社が23年度に値上げした商品は2万5234品目にのぼった。