【Bunnmei blog】

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が、退任から2年を経て初の回顧録を出版します。この回顧録は『辺境から中心へ』というタイトルで、今月20日に出版される予定です。この回顧録には、在任中の外交・安全保障政策と決定過程が盛り込まれています。特に北朝鮮の金正恩氏との対話について詳細に述べられているようです。

 

また、文在寅前大統領は回顧録で、安倍晋三元首相とのやりとりを明かし、北朝鮮との非核化交渉で安倍氏が廃棄対象に短距離弾道ミサイルや生物化学兵器を含めるよう過度な要求し「足を引っ張る主張を続けた」と記述しています。さらに、文在寅前大統領は、安倍晋三首相が北東アジアの緊張や「不安をあおる態度を見せた」と厳しく批判しています。

 

■金正恩との対立と対話

 

文在寅前大統領の回顧録には、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との3回にわたる会談のやりとりが公開されています。金正恩総書記は、2010年に北朝鮮が砲撃した韓国北西部の延坪島への訪問に意欲を示すなど、韓国に配慮や関心を示す様子が伝えられています。

 

具体的には、金正恩総書記が砲撃事件のあった島「いつか延坪島(ヨンピョンド)を訪ねて住民を慰めたい」と述べたことが記録されています。また、金正恩総書記は「核を使うつもりはまったくない」と非核化の意志を何度も切実に語ったとも強調されています。

 

これらの詳細は、出版された回顧録で確認することができます。この回顧録は、文在寅前大統領の在任中の外交・安全保障政策と決定過程を詳細に描いています。

文在寅前大統領は日本との関係について、自身の回顧録でいくつかの視点を明らかにしています。

 

■安倍晋三元首相との対立

 

文在寅前大統領は、安倍晋三元首相との間に一貫した対立があったと述べています。特に、北朝鮮との非核化交渉において、安倍氏が廃棄対象に短距離弾道ミサイルや生物化学兵器を含めるよう非現実的な要求をし、「足を引っ張る主張を続けた」と記述しています。

文在寅前大統領は、北朝鮮のミサイル発射が相次ぎ、朝鮮半島の緊張が高まった2017年に、安倍晋三首相(当時)が過度に「不安をあおる態度を見せた」と厳しく批判しています。

さらに日韓関係について、文在寅前大統領は大統領在任中、元慰安婦や元徴用工の歴史を巡るいわゆる歴史問題で対立しながらも、経済、社会、文化では「未来志向の協力を追求した」と強調しています。しかし、2019年に日本政府が韓国への輸出規制を強化し「関係に害を与えた」として、関係悪化の責任は日本側にあるとしてます。

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は、現在のユン大統領に比較して、北朝鮮との対話や融和を求めて、米韓軍事同盟を相対化することに尽力してきましたし、当時のトランプ米政権と北朝鮮の対話の道を追求しアシストしてきました。それに対して現在のユン政権は、北朝鮮との対決姿勢を強め同時に米韓軍事同盟や対中国の対立姿勢を強めつつ、米日韓のブロック化を推し進め、対立と緊張を強めています。(了)

 

「制裁、正直きつい」「核を使うつもりはない」 金正恩氏が吐露

 (msn.com)

 

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=2024年3月7日、朝鮮中央通信・AP

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=2024年3月7日、朝鮮中央通信・AP© 毎日新聞 提供

 

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は今月発売の回顧録で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が、核・ミサイル開発に対する国連などによる経済制裁について「正直に言って、きつい」と吐露したと明らかにした。「経済を発展させることが自分にとって最も重要な課題なのに、制裁のせいで難しい」とも話したという。

 

 金氏の発言は、2018年4月に南北軍事境界線のある板門店で実施された南北首脳会談でのもの。回顧録によると、金氏は文氏に対し、核開発について「核は徹底的に自分たちの安全を保障するためのものだ。使うつもりは全くない」と述べた。また「我々が核なしでも生きられるなら、何のために多くの制裁を受けながら核を頭にのせて生きるのか。自分にも娘がいる。娘の世代まで核を頭にのせて生きるようなことはしたくない」とも話したという。

 

 金氏は、トランプ米大統領(当時)との会談への期待を口にすると共に「何の経験もない」と不安も口にし「どのようなアプローチをすればいいのか」と文氏に助言を求めたという。

 金氏が駆け引きの一環で文氏にこうした発言をした可能性もある。

 

 また、金氏は首脳会談後の両首脳による共同記者発表について「一度もしたことがない。どうすればいいのか。どんな内容を盛り込めばいいのか」と文氏に質問した。発表が終わった後も「自分はうまくできたか」と文氏に尋ねたという。

 

 文氏は金氏の印象を「とても礼儀正しく、年長者を尊重する行動が身についていた。(会談では)いつも先に来て待ち、(文氏が)去る時は見えなくなるまで見送ってくれた。(金氏は)夕食会の時には、たばこを吸うために外に出たりもした。対話をするに値する人物だった」と記した。【ソウル福岡静哉】