【Bunnmei blog】

 

LINE(ライン)は、スマートフォン、パソコン、タブレットなどで利用できる無料のコミュニケーションアプリケーションです。韓国の大手ITであるNAVER=ネイバーが開発し日本でブレイクしたものです。いろいろ経過があり、後でも触れますが現在ではAホールディングス(ネイバー、ソフトバンクが半々の株式を持つ)がLINEの所有者と言うことになっています。

 

■総務省の介入

 

LINEヤフーの「資本関係見直し」問題は、日本の総務省がLINEヤフーに対して行った行政指導に起因しています。この行政指導は、LINEヤフーがユーザーの個人情報を含む情報漏洩を公表したことを受けて行われました。総務省は、LINEヤフーが韓国のIT大手、NAVERに過度に依存していると指摘し、その結果として去年などの情報漏洩が発生したと主張しました。公開はされていないものの「ソフトバンクに株式を譲れ」つまり、LINEの所有権を韓国から日本企業に転換させよ、と言うことです。ソフトバンクの傘下に入らせてLINE事業の拡大を目指そうとしたものと推測されています。総務省はこのような意図をもってNAVERに対してLINEヤフーの持分整理を要求したと考えられます。

 

■韓国企業から「日本企業」へ?

 

NAVERによって作られたLINEはソフトバンクによって買収されていますが、その買収はLINEモバイルに対するもので、2022年3月1日に実施されました。その後、上記したようにLINEはソフトバンクと韓国のIT大手NAVERの間で経営統合が行われ、その一環としてAホールディングス株式会社(「AHD」)という新たな会社が設立されました。AHDは、ソフトバンクとNAVERがそれぞれ50%ずつ出資してソフトバンクとNAVERの共同出資による子会社となっています。この経営統合により、ソフトバンクとNAVERは、AIを活用した事業領域に注力し、アジアを中心にグローバルな事業展開を目指しています。

 

■LINE系列会社の韓国人従業員2500人の不安

 

 NAVERネイバーやLINE系列会社の従業員たちが、日本側にLINEヤフーの株式を売却してはならないとし、韓国政府に断固たる対応を求めました。NAVERネイバーの労働組合「共同声明」は13日に声明を発表し、「LINE系列の構成員と彼らが蓄積した技術とノウハウに対する保護が最優先であり、彼らを守る最善の選択は株式を売却しないこと」だとし、「大韓民国の労働者が不当な待遇を受けないよう政府に積極的かつ断固たる措置を求める」と述べています(ハンギョレ新聞)。ネイバー労組は「セキュリティ事故の対策として持ち分を増やすという(日本の)ソフトバンクの要求は、常識とかけ離れているだけではなく不当だ」とし、「韓国企業が海外で不当な待遇を受け、技術を奪われ、韓国の労働者が仕事を失うことになりかねないと懸念される状況で、積極的かつ断固として対処し、不当な要求には声をあげてほしい」と韓国政府に要請しました(ハンギョレ新聞)。

 

 労組は持ち分の変動によりLINE系列会社の開発者をはじめとする従業員たちが雇用不安にさらされることを懸念しています。「50%の持ち分の一部でもソフトバンクに渡った場合は、2500人余りの大韓民国の労働者であるLINEの従業員たちがソフトバンクの子会社所属となり、雇用不安を懸念する状況が起きるかもしれない」(ハンギョレ新聞)と

 

日本では誰もが使うLINEアプリですが、韓国の企業が生み育ててきたことは日本人は案外知りません。この有望なIT企業を日本が「強奪」するような形はあってはなりません。韓国では反日感情の高まりが懸念されています。もちろんNAVERやLINEの技術者、労働者が切り捨てられることは断固として反対です。

 

この問題は、日本製鉄による米国のUSスチールの買収問題と類似しています。仮にも株主や経営陣が企業買収に同意したとしても、傘下の労働者たちの運命がもてあそばれてはなりません。USスチールの買収は、少なくとも米国の労働者の大きな変動は当面は無いでしょうが、LINEのようなIT企業では不安はより大きいでしょう。

 

USスチールの日本製鉄の買収額が2兆1千億円ですが、LINEの現在の時価総額は約6兆4千億円なので、仮に完全子会社にするためには約4兆6千億円と推定されます。総務省の「指導」である「資本関係の見直し」はそのレベルを想定していませんがAI企業への転身を目指しているので「ン兆円」という数字かもしれません。つまり、国際的なIT資本戦争の一部であることは確かです。労働者は身を護るためにも企業の勝手を許してはなりません。(了)

 

 

LINE韓国法人2500人が雇用不安訴え

…日本CEO「雇用保障を約束」

 : 経済 : hankyoreh japan (hani.co.kr)

 

 

日本のLINEヤフーCEO、韓国LINEプラス社員に対し 
オンライン説明会…ネイバー労組「懸念」声明

日本政府の行政指導に触発された「LINEヤフー問題」に対する社会的懸念が高まる中、14日、京畿道城南に位置するLINEヤフー系列の韓国法人LINEプラスの本社に向かっている社員/聯合ニュース

 

 日本のLINEヤフーの最高経営責任者(CEO)が、いわゆる「LINEヤフー問題」発生後、雇用不安を懸念するLINEの韓国法人の社員に対し、雇用の保障を約束していたことが分かった。

 15日の業界の話によると、LINEヤフーの出澤剛CEO(社長)は、14日午後6時からオンラインで2時間近く行われた韓国LINEプラスの社員に対する説明会に出席し、「社員の雇用の安定を保障する」、「変化はない」との趣旨の話をしたという。LINEプラスはLINE事業を担当するLINEヤフーの子会社で、韓国の法人だ。LINEヤフーのCEOが雇用保障に言及したのは今回が初めて。