【Bunnmei ブログ】

 

イスラエル軍が、ガザに対する壊滅的な攻撃を繰り返すばかりではなく、もう一つのパレスチナ「自治区」であるヨルダン川西岸地区でもシオニストたちの「入植食活動」が一層暴力的に展開されています。さらに下添付記事のように北部にあたるレバノンにもイスラエルの攻撃が飛び火しつつあります。こうしたことは、単に偶然に発生しているのではありません。背後には極右シオニストが支配するネタニアフ政権の一貫した思想と計画が存在するのです。それが「大イスラエル主義」あるいは修正シオニズムと呼ばれる思想・歴史観です。

 

■大イスラエル主義とは?

 

大イスラエル主義とは、「聖書」によるユダヤ人の歴史的な故郷とされる地域全体をイスラエル国家の領土とすべきだという思想です。この地域には、現在のヨルダン川西岸・東岸の一部、ガザ地区、レバノン南部、シリアの一部が含まれます。ユダヤ教の教えに基づいて、ユダヤ人は聖書の約束によってこの土地を与えられたと主張します。

ゆえに、ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ人のわずかな自治区も認めるつもりはないのです。また、イスラエルは常に周辺国からの脅威にさらされているため、安全保障上も大イスラエル主義が必要だと主張し領土の拡大や侵略を正当化しています。

 

このような修正主義シオニズムは、主に領土の最大化を目指すことにおいてシオニズム内の他の派閥以上に過激でした。修正主義者は全領土を占領するというビジョンを持っていて、エレツ・イスラエル(約束の土地)の全領土に対する主権に対するユダヤ人の権利を主張しました。

 

■侵略の正当化は認められない

 

このような過程をへてイスラエルは、領土範囲を定めた国連決議を否定して「領土を拡大」を建国以来推進してきました。修正主義シオニズムはシオニスト運動内の強力な派閥であり、そのイデオロギーはイスラエルの右翼政治の基礎でありそれは、支配的な社会主義労働シオニズムに対する主要なイデオロギー的競争者でした。修正主義はリクード党(現在のネタニアフ政権与党)の発展につながったのでした。これこそイスラエルの侵略主義の思想的核心なのです。

 

リクード党は、修正シオニズムの創始者であるゼエフ・ヤボチンスキーの思想を引き継ぎ、現在のネタニアフ政権の与党であるリクード党の基盤となっています。そのため、リクード党の政策、特に領土問題に関する政策は、修正シオニズムの影響を強く受けいるからこそガザや西岸の自治を否定し植民を進め、さらにはシリアやレバノンなどへの侵攻の機会をうかがっていると考えられます。

 

当然、その政策は国際社会からの批判を受けており、アラブ人やパレスチナ人への残虐非道な攻撃がイスラエルとパレスチナの間の紛争解決を難しくしています。

 

修正シオニズムはこのようにエレツ・イスラエル(旧約聖書に登場する古代ユダヤ=イスラエル王国の最大版図を指す言葉⇒約束の土地)全土に対するユダヤ人の主権を主張しています。その彼らがまさにイスラエル政権の中枢に陣取っていのです。これでは中東の戦争は収まることがありません。ところが米国が巨額の軍事支援を継続しいるので、このイスラエルの領土的野望は燃え盛るばかりです。

 

■イランとの戦いより、ガザ、西岸、レバノンへの領土野心を優先か

 

四月の在シリアのイラン大使核空爆やそのイランによるイスラエル報復は中東戦争の危機と言えます。今後の展開は勿論不明ですが、イスラエル政権は対イラン攻撃(核施設破壊)を「手控え」それよりも本来の狙いである領土的野心の達成を優先させているとみられます。繰り返しますが、それはガザの併合と西岸の入植・統治、そしてレバノンの一部の武装勢力掃討を口実に戦禍を拡大し、占領する可能性もあります。それが、修正シオニズムに占められたネタニアフ政権の政策だと言えます。

 

米国政府のイスラエル軍事支援を何より止めなければなりません。さらにイスラエルの政権をイスラエル国民は打倒すべく闘いに決起してほしいものです。(了)

 

 

 

イスラエル・レバノン国境で交戦激化 イランとの「衝突」を受け 

(msn.com)

ヒズボラによる攻撃で破壊された車や建物=イスラエル北部で2024年4月18日、ロイター

ヒズボラによる攻撃で破壊された車や建物=イスラエル北部で2024年4月18日、ロイター© 毎日新聞 提供

 

 4月中旬にイランとイスラエルの緊張が高まって以降、親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエル軍の交戦が激化している。中東メディアによると、衝突が始まった昨年10月以降、死者はイスラエル側で少なくとも22人、ヒズボラが拠点とするレバノン側で350人以上に上る。レバノンの旧宗主国フランスは緊張緩和に向け関与を強めているが、ヒズボラの攻勢は収まる気配が見えない。

 

 「ガザの激しい戦闘は終わりに近づきつつある。イスラエルは北部の戦線に目を向けている」。地元メディアによると、イスラエル政府関係者は28日こう語り、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘後は、ヒズボラとの戦いに傾注する姿勢を示した。