コラムの窓・・・新たな危機、永遠の化学物質による環境汚染
【ワーカーズ】四月一日号



 3月7日締め切りの「有機フッ素化合物(PFAS)に係る食品健康影響評価に係る審議結果(案)についての意見・情報の募集について」、意見を送りました。パブコメなど書いても結果は変わらないと言われるけれど、書かずにおれない実態があります。500字以内とされたパブコメ、私は次のとおり書き送りました。
パブリックコメント

 有機フッ素化合物は容易に消え去らない環境汚染化学物質であり、すでに環境中に存在するものであり、汚染が拡大する前に対策を取らなければならない。特定できる汚染源(米軍基地やダイキン工業)を確定させ、汚染物質の環境への排出を止めなければならない。他の汚染源も調査し、対策を取らなければならない。

 健康影響について、審議結果(案)は「情報は不十分」「証拠は不十分」とあるが、リスクが明確になるまで規制を保留するなら、汚染してしまって取り返しのつかない手遅れとなる可能性がある。それは水俣病を取り上げるまでもなく、深刻な健康破壊を招く。

 米国で行われた「C8科学調査会」による約7万人の血液調査によると、PFORと次の6種の病状との関連性が確認されている。妊娠高血圧症ならびに妊娠高血圧腎症、精巣がん、腎細胞がん、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、高コレストロール。

 健康影響評価というなら、少なくとも汚染地での大規模な血液検査と健康調査を行うことで、現状把握をすることが欠かせないだろう。健康破壊の危険性に関しては安全側に立ち、くれぐれも手遅れにならない規制を行うよう心掛けなければならない。

 C8というのは、PFOA・PFOSは8個の炭素原子にフッ素原子がついていることを示しています。PFOAはもっぱら焦げ付かないテフロン加工などに、PFOSは軍事基地(自衛隊基地も含む)で使用する泡消火剤などに含まれています。既に使用禁止となっていても、アスベストと同じように今も使用中・使用済みのものから漏れ出しています。

 食品健康影響評価案を取りまとめた食品安全委員会「PFAS作業部会」は、最新の研究成果を無視し、規制強化に反対する勢力に忖度したのです。諸外国では規制強化が進んでいるのに、水道水や河川など環境中の水についてPFOAとPFOSの合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)の暫定目標値を変えない方針です。

 さて、3月14日のNHK時論公論が、「化学物質PFAS 相次ぐ検出 健康影響は? 水質基準と今後の対策は?」を取り上げました。しかも、珍しく問題点をしっかり指摘しています。そして、求められる対策を次のとおりまとめています。

①大半の自治体が水道水の調査を未実施、水質基準に入れ実態把握を。②各地で住民の血液中から高濃度のPFASを検出、全国的な調査が必要では。③基地・工場など汚染源の特定と、新たな排出の確実な防止。④現在は法的拘束力のない暫定値がPFOA・PFOSの2種(PFASは4000種類以上ある)のみ。

 そして、〝予防原則〟から欧米並みの規制が必要では、と結んでいます。私が送ったパブコメとほぼ同じ内容ですが、断定しないで〝では〟となっているのがNHK的です。フクシマの核汚染水だってそう、環境汚染してしまってからでは浄化はムリ。汚さないことが最善だと、私は思うのです。 (晴)