読書案内  「維新観察記 彼らは第三の選択肢なのか」 著者 適菜収
 発行 ワニブックス「PLUS」新書

 

 


 本のなかで著者の適菜さんは、「維新の会は、大阪で発生した大衆運動です。維新は、嘘とデマで大衆を騙すことにより拡大してきた。吉村洋文や馬場伸幸ら維新の構成員がこれまで垂れ流してきた『私立学校の完全無償化を実現した』というのも完全な嘘、デマである。吉村は、昔の大阪市は大赤字でそれを立て直したのが維新市政だったという趣旨の発言も繰り返してきたが、これも大嘘。大阪市のホームページには、二○二一年度一般会計決算について、《平成元年度以降三三年連続の黒字となりました》とある。二○二二年の参院選の政見放送で松井一郎は大阪の私立高校の入学金が無償である旨の発言をしたが、これも完全なデマだった」。  

 維新の狙いは、国政や地方自治体で自民党に失望している層の受け皿になることで、自民党がダメだから維新を選ぶのは間違いです。維新は、自民党以上に排外主義で弱肉強食の政治をやっています。  

 二○一五年の大阪市廃止?分割を問う住民投票では、当時大阪市長の橋下徹はタウンミーティングで「東京を飛び越えてニューヨーク、ロンドン、パリ、上海、バンコク、そういうところに並んでいく大阪というものを目指そうとする。これが大阪都構想賛成派」と発言しました。でも、大阪市が廃止?分割されたら町や村以下の特別区になるところでした。こんなものをやろうとする維新、えげつないです。  

 二○二○年大阪府知事の吉村は、イソジンがコロナに効くと言っていました。「嘘みたいな本当の話をさせていただきたい。ポビドンヨードを使ったうがい薬、目の前に複数種類ありますが、このうがい薬を使って、うがいをすることでコロナの陽性者が減っていく。薬事法上、効能を言うわけにはいきませんが、コロナに効くのではないかという研究が出たので、紹介し、府民への呼びかけをさせていただきたい」。これはもちろん嘘のような嘘です。  

 二○一九年、日本維新の会が参院選の比例代表で三人の公認を発表しましたが、そのうちの一人が元フジテレビアナウンサーの長谷川豊(後に公認辞退)でした。彼は、女性差別発言を繰り返してきました。「女が完全にトチ狂って、本能に支配されきって、完全にくるくるパーにならないと、子どもを産もうなんて思わない」、「八割がたの女ってのは私はほとんんど『ハエ』と変わらんと思っています」、「育休とったら社会に戻れない?言い訳すんな。バカ」。  

 また、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」。  

 これらの発言をする長谷川豊、ホンマにひどいです。  

 二○二○年一一月一日の、大阪市廃止?分割を問う二度目の住民投票否決を受けての会見で、松井も吉村も三度目の住民投票はないと言いましたが、信用できません。吉村は「大阪維新の会として都構想の看板を下げているわけではありません」と発言しました。そして二○一五年の一回目の住民投票で橋下は、「都構想の住民投票は一回しかやらない」、「賛成多数にならなかった場合には都構想を断念する」。二回目の住民投票が行なわれたのであるから、これもウソでした。  

 維新は「身を切る改革」と言いながら、住民のサービスを削ってきました。大阪市のコミュニティバスである赤バスを廃止したり、住吉市民病院を廃止したり、公立病院や保健所などの職員を大幅に削減してきました。  

 弱肉強食の社会を作ろうとしている維新、到底許すことができません。(河野)