【Bunnmei の一言】

 

米国の国賓となった岸田首相。防衛三文書改訂で日本が防衛費の倍増に踏み切ったことや、2023年12月に防衛装備移転三原則と運用指針を改正して、自衛隊の地対空ミサイル「パトリオット」の米国への輸出したこと、等々、岸田政権の進める軍拡政策を米国政府は大いに評価したようです。

 

 そればかりではありません、日本政府のトマホークの大量買い付け、F-35A,Bの大量買い付け、イージスアショア2セット購入(陸はやめて船に乗せるとか)等々の、安倍首相が道を清めた兵器爆買い路線を実現化したことを米国が大歓迎した結果でしょう。日米軍事同盟はますます強まっています。

 

 ゆえに、あえて明確にしなければなりません。日米軍事同盟の日本国民に対するこれまでの悪影響つまり長期の基地被害や、米軍基地が大量に展開することによる否定的な日本政治特に外交への影響を考えてみなければなりません。さらに日本国内の危険な軍部勢力は日米軍事同盟を「対中国防衛」と言う建前をフル活用して軍事大国化の復活が目指されています。これらについて論じてみます。

 

■米軍の日本国土での継続的支配は異常だ

アメリカ合衆国は世界中で約180以上の国で軍事展開を行っており、約1,650,000人のアメリカ軍現役将兵が米国およびその領土外で従事しています。これには戦闘任務だけでなく、平和維持任務や駐在武官任務、大使館・領事館の警備なども含まれています。

 

以下は、地域別にアメリカ軍が配備されている主な国の人員数です。

●東アジア、東南アジア、太平洋:

日本: 57,094人

韓国: 26,643人

グアム: 6,240人

●ヨーロッパ:

ドイツ: 34,668人

フランス:0人

イタリア: 12,486人

イギリス: 9,299人

西アジア、中央アジア、南アジア、アフリカ、インド洋:

バーレーン: 3,999人

 

米国本土外で多数の米軍基地があり最大の兵員が存在するのが日本なのです。基地被害のみならず政治主体=政府がそのことによって否定的影響を受けてきたこともご存じのことと思います。

 

■日米地位協定とは?優遇される米軍関係者の地位

 

正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」です。

 

米軍の特権の数々。日米地位協定では、公務中の米軍関係者が刑事犯罪を起こした場合、米国の軍法裁判で裁かれると規定しています。日本の捜査機関や司法が扱えるのは、米軍が身柄引き渡しを認めた場合に限ります。さらに米兵は出入国管理法から除外され、米軍基地経由で日本にパスポートなし・検疫不要で入国できる特権を有するとしています。

 

米軍機は日本の空港への事前通告なしでの使用が事実上認められ、民間機よりも優先的な空港使用が認められています。これにより、民間機が空港に降りられない問題も起きています。空港や港、道路の無料使用、物品税やガソリン税などの免税措置も定められています。あきれたことで、廃止されるべきです。

 

■せめて「合意議事録」の撤廃、日米地位協定の欧州並み改善を

日米地位協定は、1960年に締結された全28条の協定で、駐留米軍の地位や自由な行動を保障する内容となっています。しかし、日本政府の怠惰と偏った「親米意識」によって一度も改定されていないためあまりに不当なものとなっています。

 

さらに日米会議における合意議事録という"密約"が存在し、これが問題の大半を占めています。この文書には具体的な内容が記載されており、日米地位協定の運用に肉付けしています。現在は公開されましたが、不当な過去の決め事なので廃止すべきなのです。

「在日米軍の法的な地位や駐留の条件を定めた日米地位協定は23日、発効から60年を迎えた。日本の独立回復前に交わされた日米行政協定に代わる新協定として締結されたが、在日米軍に特権を認めており、行政協定と何ら変わっていない」(2020年、琉球新報)。日本政府はせめて欧州など基準まで地元国の権利を拡張すべきですが、岸田首相はそれを伏せるのでしょう。

 

■軍事大国復活の野望、単なる対米従属ではない!

 

日本側はかねて在日米軍司令部の権限を強化するよう米国側に求めてきた、日本はこれまで、東京の横田基地にある在日米軍司令部の権限が、自衛隊と米軍との合同演習の監督などに限定されており、戦争などの有事の際の対応に問題があると主張していた(ハンギョレ新聞)。在日米軍司令部に実質的な決定権限が乏しいため、日本側はかねて(韓米同盟ぐらい)権限を強化するよう米国側に求めてきた(時事)のです。

つまり、来る日米首脳会談で新たに目指されている日米安保体制の再編の要諦は、韓米軍事同盟と北朝鮮との関係(休戦協定下の戦争状態)ぐらい緊迫した軍事情勢を中国との関係に置き替えたものです。いつ何時の戦争にも対応できる対中国の戦争体制の確立を目指したものです。しかも、注目すべきは、この動きが米国からの圧力ではなく日本側からの長期の要請であったこと、それを米国が飲んだという流れです。日本は、米国に対して「東アジア領域で中国と戦う用意がある」ことを示したのです。日米軍事同盟は日本側からの要請で「深化」しつつあるのです。今回の岸田・バイデン会談で承認されると推測されます。

 

日本側の狙いは、「中国の脅威」を根拠にして米国との強固な同盟を拡大することでアジアの軍事大国を目指すという野望がまた一つ前進したことになります。すでに自衛隊の軍備は「自衛」ではありません。空母二艘体制、スタンドオフミサイル(敵基地攻撃用)、和製海兵隊など、海外どこでも「米軍支援」の名目で軍事行動をとることができます。あるいは「邦人保護」などで単独行動も可能でしょう。

 九条との裂け目はますます限界をこえています。(了)

 

 

日米首脳会談、共同声明の概要判明 米国、防衛費の大幅増「歓迎」

 (msn.com)

岸田文雄首相(左)とバイデン米大統領

岸田文雄首相(左)とバイデン米大統領© 毎日新聞 提供

 岸田文雄首相とバイデン米大統領が10日にワシントンで実施する日米首脳会談で発表する共同声明の概要が判明した。

米国は、日本が防衛費の大幅増に踏み切ったことや、2023年12月に防衛装備移転三原則と運用指針を改正して、自衛隊の地対空ミサイル「パトリオット」の米国への輸出を決めたことなどに「歓迎」を表明。安全保障面での協力を前面に押し出し、日米同盟の強化をアピールする。