【Bunnmei の一言】

 

米中の覇権争いが激しさを増す東南アジアで、アメリカより中国を選ぶ人が過半数に達するとの調査結果が出ました。(添付記事)「増大する中国の経済的影響力が背景にある」と記事はコメントしています。日本の政府やマスコミから流されている「中国脅威」「台湾侵攻」「南西諸島防衛」といった話ばかり聞かされている日本国民からすれば「意外な結果」と見えるでしょう。政府とマスコミがひどく偏っているのは中国とのデカップリング(覇権争い)を進める米国と日本国内の軍拡勢力の見解の反映なので警戒すべきです。

 

ので、二つの面から少し考えてみます。ひとつは米国の相対的衰退です。外交でも安全保障でも米国はアフガンの失態、ウクライナ「支持」に見せた中途半端さ、さらにはイスラエルのジェノサイドへの肩入れ等々、国際法や国際的信義と言ったレベルにおいてすら信頼を裏切り続けたということです。

 

かたや、中国経済圏の拡大です。東南アジアにおいて中国との経済的関係は深まっています。つまり、「米中逆転」は米国の敵失によるものだと思います。これは当然の結果です。むしろ日本のようにあれだけ米国の国際的不誠実さが露呈し、ダブルスタンダードが批判されても、さらには国内での米軍基地問題、オスプレイ事故、高額兵器の大量購入、と言った否定的事象があるのにいまだに政府マスコミが米国べったりなのは異常です。異常な米軍基地の国日本。日米軍事同盟によつて大きく外交が捻じ曲げられています。米国との「強すぎる」同盟関係は国民にとって、また庶民・労働者にとっても危険なものです。

 

■しかし、中国にも警戒が必要

 

中国が経済力で東南アジアでの進出に成功し、打算的理由で政府機関やジャーナリズム相手に「好感度が」上昇しても(添付記事)、特に労働者は習近平政府に対する批判的精神は必要だということです。

 

中国の数十年に渡る高度成長は、国内の矛盾を先鋭化しました。ジニ係数は0.2台から0.4台へと悪化しました。もはや英米国家並みの貧富の差があります。かつてのように「みんな貧しかった」というのではなく富むものと貧困な者との差が開くばかりです。

 

2020年、国民的な非和解的な現状のまえで習近平主席は「中華民族の共同体意識」を強化するよう指示しています。彼は「中華民族の共同体意識が『民族団結の基礎』だ」と述べ、「中華民族全体の利益を考え、共同体意識を固める仕事をしなければならない」と指摘しています。また、「中華文化が幹であり、各民族の文化は枝や葉だ。幹が丈夫なら枝や葉も生い茂る」と述べています。これは、各民族の独自性よりも「中華民族」としての一体性を重視する習政権の方針を示しています。

 

つまり、政府の下に国民的団結を強要しています。とくに、分離独立の傾向のあるイスラム系民族への危機感を強めています。しかし、この政策は一部の少数民族、特にウイグル族やチベット族などからの批判を引き起こしています。これらの民族は、自身の文化や言語、宗教の自由が脅かされ、自身のアイデンティティが失われることを恐れています。こうして習政権の強まる強権統治は、かえって国民内部の分裂を刺激しています。

 

このような国内内部分裂含みの社会が――それぞれに固有の歴史過程をとりつつも――米国であり、中国でもあります。国内矛盾の軋轢が外部に向けられるという歴史はたびたび繰り返されています。勤労市民、労働者は批判的目を持ち米中ともに警戒すべきです。(了)

 

「米国より中国」東南アジアで調査 中国の影響力強まる 日本は“最も信頼できる国” 

(msn.com)

「米国より中国」東南アジアで調査 中国の影響力強まる 日本は“最も信頼できる国”

「米国より中国」東南アジアで調査 中国の影響力強まる 日本は“最も信頼できる国”© TBS NEWS DIG_Microsoft

 

 

米中の覇権争いが激しさを増す東南アジアで、アメリカより中国を選ぶ人が過半数に達するとの調査結果が出ました。増大する中国の経済的影響力が背景にあるとみられます。

シンガポールの研究機関は2日、東南アジア各国の有識者や政府関係者、メディアなど1994人を対象に1月初めから2月下旬にかけて実施したアンケートの結果を公表しました。

 

米中対立が激化する近年の地域情勢をめぐり「アメリカと中国のどちらを選ぶか?」という質問では、中国を選んだ人が50.5%に達し、アメリカの49.5%を上回りました。

調査が始まった2020年以来、初めて中国とアメリカの支持率が逆転しています。

 

一方、アメリカのバイデン政権が中国に対抗するため、アジアへの関与を重視するなかで、南シナ海で中国との領有権対立を抱えるフィリピンとベトナムでは、およそ8割の人がアメリカを選択。

対照的にインドネシアやラオス、マレーシアなどでは、中国が主導する巨大経済圏構想「一帯一路」による投資の恩恵を歓迎する声が大きく、中国の経済的な影響力が拡大していることがうかがえます。

 

また「最も信頼できる国」として日本は最も高い評価を得ましたが、「内政や東アジアの近隣国との関係に気をとられ、世界的な問題に集中できていない」といった懸念も指摘されました。