何でも紹介  戦争ができる国作りと国家統制

【ワーカーズ三月一日号】




 ●戦争ができる国作りに邁進する自公連立政権

 第2次安倍政権は2013年12月、首相や一部の閣僚だけで重要な外交・安保政策を決められる「国家安全保障会議(日本版NSC)」を発足させ、その2日後には、米国と共有する防衛機密などの漏えいを防ぐことを目的とした特定秘密保護法を成立、政権の中枢に権限と機密情報を集中させた。

 2014年4月、武器輸出三原則を見直し、武器の輸出や他国との共同開発を事実上解禁する防衛装備移転三原則を閣議決定し、同年7月には、歴代政権の憲法解釈を変更し、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を閣議決定。集団的自衛権行使や米軍支援拡大などを可能とするための安全保障関連法を15年9月に成立させた。

 2017年6月には、運用によっては、政府に批判的な団体への圧力になるとの懸念もある、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を含んだ改正組織犯罪処罰法も成立した。

 岸田政権も安倍政権の路線を引き継ぎ、22年12月に閣議決定した安保関連3文書には戦争放棄の憲法9条を解釈変更した「専守防衛」を形骸化させる「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有を明記し、現在は自民、公明両党で武器輸出ルールの緩和に向けた協議が続いているが、武器の開発と輸出解禁が決定されようとしている。

 第2次安倍政権以降、政府の意思決定と政策遂行の密室性の中、日米の軍事的一体化と情報管理の強化が進み、国民の権利侵害や憲法違反の懸念が拭えないまま、特定秘密保護法の下に戦争ができる国づくりに邁進し続けている。

●特定秘密保護法の問題点

 成立してから10年となる特定秘密保護法では、特定秘密『「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」』をチェックするため、内閣府に「独立公文書管理監」が置かれ、衆参両院には情報監視審査会が設置され、いずれも秘密指定の手続きが適切に行われているかなどを形式的にチェックしている。しかし、特定秘密に指定された政策の内容に関する審査や監査はできないので、非公開の政策判断が正しかったか検証できずにうやむやに事が進んでいく状況がある。

 特定秘密に関する政策が秘密裏に進んでいくだけでなく、指定された政策の内容に関する審査や監査だけではなく特定秘密の情報を取り扱う人を調査し、管理する「適性評価制度」というものが規定されており、秘密を取り扱う人というのは、国家公務員だけではなく、一部の地方公務員、政府と契約関係にある民間事業者で働く人も含まれ、その上、本人の家族や同居人にも調査が及ぶこととなり、広い範囲の人の個人情報が収集・管理されることになり、 ローンなどの返済状況、精神疾患などでの通院歴等々、プライバシーに関する事項を含め、多岐に渡って調査・統制の対象になっている。

 特定秘密保護法は、安全保障関連法制定などとともに、安全保障政策を大きく転換させた。「国家安全保障会議(NSC)が設置され、安保関連法で自衛隊の活動範囲を従来よりも広げ、敵基地攻撃能力の保有も決めた。そうした政策の核になる部分が特定秘密に指定される。さらに周辺の情報を非公開とすることで保護している。(特定秘密保護法の成立から)全ての政策はつながっている」と政府は高い機密性を理由に情報公開をしぶり密室政治が行われようとしている。 

●経済安保法制の強化   

 2022年5月に成立した経済安全保障推進法は半導体などのサプライチェーン(供給網)を国内で強化し、基幹インフラを外国の脅威から守るための法律で①重要物資の供給網の構築②基幹インフラの安全確保③先端技術の官民研究④特許の非公開――の4本柱で構成する。

 「サプライチェーンの強化」で、特定の国に頼りすぎてしまうリスクを減らそうと半導体やレアメタル・レアアース、医薬品などを「特定重要物資」に指定し、企業の調達ルートや保管状況をチェックして、国が財政支援することも盛り込まれ国の関与を強めます。

 また日本がみずから先端技術を守ることも安全保障上、重要と法案では「先端技術の開発支援」や「特許の非公開化」で技術流出を防ぐ制度を柱に据えています。

 さらにサイバー攻撃から電力や通信などのインフラを守る制度も盛り込まれています。

●民間人にも「適性評価制度」を導入する

 政府の有識者会議が防衛、外交、スパイ・テロ防止を対象にした特定秘密保護法の構造を参照しつつ、「経済安全保障」関連の情報を扱う民間人らについて民間人を含め経済安全保障上の重要情報を扱う人の身辺を国が事前に調べる「セキュリティークリアランス」(適性評価)制度「適性評価制度」を導入する提言案まとめ、経済安全保障推進法案が国会で審議されている。

 安保の概念が経済や技術に広がったためとされるが、(1)政府が持つ機密情報を指定し(2)取り扱う人を適性評価にかけ(3)漏らせば罰する、という枠組みをつくり、罰則も同法と同じく懲役10年以下にする方向で、法案をまとめ、通常国会に提出する方針という。身辺を調べられる人の人権やプライバシーが守られ、不利益を被らないという保証は何もないのだ。

●戦争ができる国作りと国家統制強化に反対する。

 集団的自衛権行使・「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有・武器輸出三原則を見直し、改正組織犯罪処罰法・特定秘密保護法・経済安全保障推進法等々は自公政権が推し進める戦争ができる国作りの為の法案であり、戦争を放棄した憲法や基本的人権遵守を歪め曖昧とさせるものである。

 世界中から貧富や差別をなくし戦争が起こらない社会を創るために、民族や宗教に問われることなく、個人的尊重と自立・国際協調と情報公開による経済活動の共有化を計るべきであり、自国優先=日本という狭い範囲に限定した考えは改めるべきだ!(光)