【管理人の一言】

ガザでの大規模な殺戮をやめようとしないイスラエルには、怒りしかありません。同時に、イスラエル政府に対する抗議や非難を避けている欧米政府にも怒りを感じます。米国政府は、あらためてイスラエルの入植活動を「国際法違反だ」と今更ながらに言明しましたが、イスラエル政府に対して軍事支援を止めることはありません。これは不誠実あるいは二枚舌にしかすぎません。本気で、イスラエル政府の蛮行を非難し止めようとするならば、米国は軍事支援をやめるべきです。

 

本来パレスチナ人の土地とされているヨルダン川西岸地区は、パレスチナ自治政府と現実にはイスラエル軍によって統治されています。国連決議や国際法をイスラエルは完全に無視しています。この地域は、イスラエル軍が行政権、軍事権共に実権を握る地区(C地区)と、パレスチナ政府が行政権、警察権共に実権を握る地区(A地区)、そしてパレスチナ政府が行政権、イスラエル軍が警察権の実権を握る地区(B地区)に分けられています。

 

こうして現実的には、イスラエル軍の活動はヨルダン川西岸全体に及んでいます。特に、イスラエル軍はパレスチナ人の日常生活を大幅に制限しており、家屋・学校などの建築、井戸掘り、道路敷設など全てイスラエル軍の許可が必要となっています。また、イスラエル軍は「違法」となった新築建造物(未完成または竣工6ヶ月以内または居住30日以内の建造物)を、司法手続きを省略して、96時間以内に異議申立が無ければ撤去できる内容の命令を布告しています。住民追放というジェノサイドです。首をすくめて生きるパレスチナ人たちはまさに下層民としてアパルトヘイトという体制に組み入れられています。

 

ヨルダン川西岸地区では、去年の十月以降イスラエル人の暴力的攻撃が頻発しています。例えば、2023年11月22日の報告では、イスラエル軍がパレスチナ人を急襲して拘束したり、パレスチナ人と衝突したりしているとの情報があります。

去年、イスラエル軍がパレスチナの戦闘員、民間人、攻撃者ら少なくとも357人を殺害したと報告されています。また、2023年10月7日から2024年1月31日までの間に、ヨルダン川西岸地区で記録されたパレスチナ人278人の死亡のうち、子どもは70人で、268人はイスラエル軍に、8人はイスラエル人入植者、2人はイスラエル軍もしくは入植者に殺されていたとの報告があります。したがって、2023年10月7日以降、ヨルダン川西岸地域でのイスラエル軍などによるパレスチナ人の死者は激増していると言えます。したがって、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ人の平和と自治が破られ続けています。この問題は、国際社会の間で大きな非難の対象となっているにもかかわらず米英仏独日政府のスタンスは不鮮明です。(了)

 

 

イスラエル、ユダヤ人入植地の拡大を発表 銃撃事件を受けて報復 

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イスラエルのスモトリッチ財務相は22日夜、イスラエルが占領するヨルダン川西岸で、ユダヤ人入植地に3344軒の住宅を新たに建設すると発表した。西岸の入植地付近で22日に起きた銃撃事件で、イスラエル人12人が死傷したことを受けての措置だという。

 住宅を建設するのは、事件があったエルサレム近郊の入植地「マアレ・アドミーム」など。占領地で入植を進めることは国際法違反だが、ネタニヤフ政権はパレスチナ人による事件が起きた場合、報復として入植地を拡大する方針を掲げている。

 

 

 

侵され続けるもう一つのパレスチナ ヨルダン川西岸の不条理 

(msn.com)

「ズズズズ……」――ドローンの不気味な羽音が、暗がりの空気を震わせる。一帯には鋭い銃声や爆発音が不規則に響いた。2023年12月末、滞在していたパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプに、イスラエル兵たちが襲来したのは夜中の午前1時近くだった。

 三重県ほどの面積の西岸地区には、約325万人が暮らす。イスラエル側は「自衛」の名のもと、地区に食い込む形で「分離壁」を建ててきた。内部ではイスラエル兵による民家などへの襲撃が常態化し、「自治」とは名ばかりなのが実態だ。

 

米国務長官、ヨルダン川西岸入植拡大は「国際法と矛盾」 見解を転換

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記者会見に臨むブリンケン米国務長官=アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで2月23日、ロイター

記者会見に臨むブリンケン米国務長官=アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで2月23日、ロイター© 毎日新聞 提供

 

 ブリンケン米国務長官は23日、訪問先のアルゼンチンで記者会見し、イスラエルによるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸への入植拡大について「国際法と矛盾する」と述べた。米国の長年の見解ではあるが、トランプ前政権下では「国際法に違反しない」との政府見解を発表しており、この見解を転換した形になる。

 ブリンケン氏は、イスラエルがヨルダン川西岸に新たな住宅を建設する計画を発表したことについて「失望していると言わざるを得ない」と批判。「バイデン政権は入植拡大に断固反対する。これはイスラエルの安全保障を弱めるだけで、強化するものではない」と指摘した。

 米メディアによると、バイデン政権の政府高官が「国際法と矛盾する」と明確に述べたのは初めてという。イスラエルが占領下に置くヨルダン川西岸では1967年以降、ユダヤ人の入植が進められてきた。占領地に自国民を移住させることは国際条約で禁じられている。