【管理人の一言】

「令和6年能登半島地震」により、柏崎刈羽原子力発電所は最大震度5強(柏崎市、刈羽村)を記録しましたが、設備の異常や液状化等の被害、外部への放射能の影響は確認されていないとされます。

 

柏崎刈羽原子力発電所では地震と津波に対して、以下の対策を実施しています

 

地震対策: 2007年の中越沖地震を踏まえ、各号機の重要な設備の耐震安全性評価を実施し、必要な耐震強化工事を行っています。また、国が定めた新しい基準に適合するよう、耐震評価・工事を行っています。

津波対策と電源の多重化: 防潮堤を設置し、非常用ディーゼル発電機がある建屋の入り口を水密扉にするなど浸水防止対策を行っています。さらに、非常用ディーゼル発電機が使えない際の対策として、電源供給が可能な空冷式ガスタービン発電機車や機動性のある多数の電源車を配備しています。

液状化対策: 液状化の影響を防ぐため、地質・断層に関する丁寧な調査をもとに基準地震動を定め、各号機の設備を強化しています。

しかしながら、知られていますように原発炉自体の補強と言うのは不可能で試みられることはありませんでした。

能登半島地震による柏崎刈羽原子力発電所の影響について、引き続き注視されている状況です。

 

■柏崎刈羽原発と東電に対する不信の歴史

 

柏崎刈羽原発と東電に関しては、これまでも事業計画への不信感とテロ対策・地震対策への不安が県民の間で高まっていました。

  • 情報公開の不十分さ: 計画変更やトラブル発生時の説明が不透明で、情報公開が遅れたり、矛盾が生じたりしていました。安全性への疑問: 原発の老朽化やプルサーマル計画への懸念、安全性に対する十分な説明不足などが指摘されていました。地元経済への影響: 原発依存の経済構造への不安や、再稼働による被害への懸念がありました。柏崎刈羽原発では2021年にIDカードの不正使用や侵入検知装置の不具合といったトラブルが相次いで発覚し、規制委が核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出しました。規制委の事務局の原子力規制庁は延べ4268時間に及ぶ追加検査で27項目の改善点を確認しています。

テロ対策・地震対策への不安

  • テロ対策の不備: 2012年に発覚した東電社員によるテロ対策情報の改ざん問題を受け、テロ対策に対する信頼が大きく損なわれました。地震対策の強化: 新潟県は地震多発地域であり、柏崎刈羽原発が想定を超える地震に耐えられるのか不安視されていました。情報共有の不足: 政府や東電、地元自治体間の情報共有が不十分で、住民への不安が解消されない状況が続いていました。

■能登半島地震の衝撃

これらの不信感と不安は、2007年の新潟県中越沖地震による原発の自動停止、2011年の福島第一原発事故、そしてその後の東電の不祥事によってさらに高まっていました。

2023年11月現在、柏崎刈羽原発の7号機は再稼働に向けた準備が進められていましたが、県民の反対は根強く、再稼働の是非は依然として焦点となっています。そんなやさきの今回の能登大地震。新潟でも液状化や、活断層の存在がクローズアップされ、県民の懐疑と反発は強まることは確実です。原発全廃炉へ!(了)

 

 

 

「柏崎刈羽原発」にも能登半島地震の余波 

 新潟県民の再稼働反対で永久停止となる流れは必然か 

(msn.com)

 

昨年末、柏崎刈羽原発の運転禁止命令が解除されたばかりだが…(原子力規制委員会の定例会合/時事通信フォト)

昨年末、柏崎刈羽原発の運転禁止命令が解除されたばかりだが…(原子力規制委員会の定例会合/時事通信フォト)© マネーポストWEB 提供

 

 能登半島地震により、石川県の志賀原子力発電所では変圧器の配管が壊れるなど、様々なトラブルが発生した。そのうえで経営コンサルタントの大前研一氏は「余波はそれだけで終わらない」と指摘する。元原子炉設計者でもある大前氏が懸念するのは、「柏崎刈羽原発」への影響だ。

【イラスト】能登半島地震が志賀原発と柏崎刈羽原発に与えた影響とは

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 能登半島地震による石川県の被害は死者240人、負傷者1181人、安否不明者14人、住宅被害4万9440戸に上り、まだ多くの地域で断水や停電が続いている(2月2日14時時点)。

 被災者の救済と被災地の復旧・復興が急がれる中、私が元原子炉設計者として注視していたのは北陸電力志賀原子力発電所だ。今回の地震で被災してリスクが露呈した同原発は、もはや廃炉にするしかないと思う。

 

 ただし、能登半島地震の余波はそれだけで終わらない。原発関係者にとって今回の最大のダメージは、7基の原子炉がある世界最大の柏崎刈羽原発も再稼働できずに永久停止(=廃炉)となりかねないことだ。

 福島第一原発事故後、東京電力は柏崎刈羽原発の安全対策に1.2兆円を注ぎ込んで、海抜約15mの高さの防潮堤や防潮壁などを設置し、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能を強化するため海抜約45mの高台に貯水容量約2万トンの淡水貯水池も造成した。こうした対策は私から見ても福島第一の教訓を反映したものであり、再稼働を認めるべきだという意見になる。

 

 だが、能登半島地震で柏崎市と刈羽村は震度5強を観測した。柏崎刈羽原発に異常は確認されなかったが、周辺地域では道路に無数の亀裂が入るなど地震の影響が少なくなかった。

 柏崎刈羽原発は、テロ対策上の重大な問題が相次いで見つかり、原子力規制委員会が東京電力に対して事実上運転を禁止する命令を出していた。

 

 しかし昨年末、規制委は「自律的な改善が見込める状態であることが確認できた」として運転禁止命令を解除した。今後は再稼働に向けた手続きが再開されることになり、地元自治体の同意が焦点となる。

 新潟県の花角英世知事は、県民の間で議論を進めた上で自身の判断を示し、最終的に県民の意思を確認するため「信を問う」としているが、そうなれば県民の同意を得ることはできないだろう。能登半島地震の甚大な被害を目の当たりにして、多くの新潟県民が「やはり原発を再稼働するのは危険だ」「柏崎刈羽も福島第一の二の舞になりかねない」と思ったはずだからである。

 

 政府と電力会社が柏崎刈羽原発や志賀原発などを再稼働したいのであれば、私が以前から提案しているように、原子力関係の人材と原発の運営管理を個々の電力会社ではなく全国で1社に集約し、そこにすべてを任せる体制にすべきである。そうして原発の安全性を担保しなければ、万一の過酷事故や重大事故に対応することはできないだろう。

 

 一昨年、岸田政権が原発再稼働に舵を切った際、私は本連載(『週刊ポスト』2022年10月28日号)で「『総括』や『反省』なき政府による原発再稼働には反対する」と書いたが、今回の志賀原発の被災状況とその対応を見ても、政府・規制委・電力会社は福島第一原発事故の教訓に何も学んでいないと言わざるを得ない。そうである以上、柏崎刈羽原発が新潟県民の再稼働反対によって廃炉に追い込まれるのも、必然の結果だと思うのである。