安倍派幹部「裏金事件」で逃げ切り画策 

“死人に口なし作戦”は通じるか…若狭勝氏の見解は 

(msn.com)

 

2018年以降に安倍派事務総長をを務めてきた(左上から時計回りに)下村博文元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、高木毅前国対委員長(C)日刊ゲンダイ

2018年以降に安倍派事務総長をを務めてきた(左上から時計回りに)下村博文元文科相、松野博一前官房長官、西村康稔前経産相、高木毅前国対委員長(C)日刊ゲンダイ© 日刊ゲンダイDIGITAL

 

自民党最大派閥「安倍派」の政治資金パーティー裏金事件について、複数の事務総長経験者が「あれは会長案件だった」と東京地検特捜部に説明していることが分かった。11日の毎日新聞が報じている。死者に罪をかぶせて、逃げ切りを狙っているらしい。

政治資金規正法の不記載、虚偽記載の公訴時効は5年。安倍派の約6億円裏金事件に関して、時効にかからない2018年以降は、下村元文科相、松野前官房長官、西村前経産相、高木前国対委員長の4人が、それぞれ事務総長を務めてきた。事務総長は、裏金について詳細に把握していたとみられ、4人とも特捜部から聴取されている。

ところが複数の事務総長経験者は、パー券販売ノルマ超過分のキックバックについて、事務方の会計責任者から会長に直接報告される「会長マターだった」と説明し、会計責任者との共謀を否定、“詳細を知る立場ではなかった”とスットボケているというのだ。

 

「18年以降、清和会(安倍派)の派閥会長は、21年11月まで細田博之前衆院議長が務め、その後は22年7月に死去するまで安倍元首相が就いていました。2人とも既に亡くなっており、事務総長経験者らは『死人に口なし』とばかりに責任を押し付け、逃げ切りを図っているとみられています。政治資金規正法の規定では、収支報告書への記載義務があるのは会計責任者です。もし、裏金づくりが本当に『会長案件』であり、事務総長は関知していなかったとしたら、共謀を立証できなくなる。事務総長経験者らは立件を免れる可能性があります。昨年末から『死人に口なし』作戦をやってくるのではないかと噂されていました」(官邸事情通)

4800万円「裏金化」池田議員にも聴取の可能性

しかし、果たして「死人に口なし」作戦が通じるのかどうか。少なくても、安倍元首相が亡くなった後に行われたキックバックについては、通じないのではないか。

22年春、会長だった安倍元首相がキックバック取りやめを提案したが、亡くなった後、夏に撤回され、キックバック継続が決まった経緯がある。当時の事務総長は西村氏だった。その後、事務総長に就いた高木氏がキックバック継続方針を引き継いでいる。

 

元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう言う。

「『会長案件』が事実であれば、会計責任者と事務総長経験者の共謀を問えず、無罪となる可能性も考えられます。特捜部としては『会長案件』を覆すための証拠がなければ、立件は難しい。ポイントは、22年の春から夏、キックバックの取りやめを撤回した一連の経緯です。西村前経産相が撤回を主導した可能性が浮上していますが、彼がキックバック継続を会計責任者などに強く指示していたとしたら、『会長案件』という説明は通らなくなる。特捜部はこの経緯に着目しているようです。安倍元首相が取りやめを提案した際、派閥所属の一部議員から異論が噴出したとされ、異論を唱えたのは約4800万円を裏金化した疑いを持たれ、逮捕された池田佳隆議員だったことが分かっています。特捜部は一連の経緯について、池田議員から聞いている可能性もあります」

 

キックバック継続に深く関与しなかった下村氏、松野氏は“無罪放免”となるのかもしれない。しかし、事務総長経験者全員が「おとがめなし」とはならないのではないか