【管理人の一言】

■辺野古新基地建設を巡る沖縄防衛局の埋め立て変更申請について、国土交通相が県に承認を迫った「是正の指示」は違法な国の関与として県が取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、2023年9月4日に最高裁判所は、県側の上告を棄却するという不当判決を下しました。事実上最高裁が、米軍辺野古基地建設を推進せよ、とお墨付きを与えたのでした。辺野古基地建設は超軟弱地盤のためにこのままでは基地建設は継続できなくなり、かつ膨大な建設費に膨れ上がる恐れが大な「地盤改良工事」への設計変更は、どんな公益性もなく、どんな合理性もない無謀なものなのです。

しかし、この前代未聞の判決により、県側の敗訴が確定しました。

 

■政府による代執行と差し止め訴訟

2023年11月22日、政府は、辺野古沖の埋め立て用地の一部を所有する地権者に対して、代執行を実施するとの通知を行いました。具体的には、政府は、地権者に対して、土地収用法に基づく土地収用裁決を行った上で、代執行を実施する予定です。土地収用裁決とは、行政庁が、公共事業の用に供するため、私有地を収用する際に、裁決によって、土地の収用に必要な土地の範囲、収用の対価、収用後の土地の処分方法などを決定する手続きです。沖縄県は11月28日、沖縄地方裁判所に、代執行の差し止めを求める仮処分を申し立てました。12月14日、沖縄地方裁判所(福岡高裁那覇支部)は、仮処分申し立てを棄却しました。

 

2023年12月20日には、沖縄地方裁判所福岡高裁那覇支部で、代執行の違法性を争う本訴の判決が言い渡される予定です。

あらそう部分は、

★代執行の必要性★代執行の手段の相当性★代執行の補償額、となります。

 

政府は、辺野古移設は国の安全保障上の必要性から不可欠であり、代執行は必要かつ相当であると主張しています。一方、は、辺野古基地建設は客観的に必要性がなく、代執行は手段の選択として不当であると主張しています。

さらに追加すれば、辺野古基地は出来上がっても滑走路の沈下がとまらない欠陥基地どまりであり、そもそも米軍自らの世界戦略に適応したものではないこともまたますます明らかです(下記天木氏記事参照)。これらの上に、超軟弱地盤と難工事による建設費の途方もない超過が誰でも予想できます。日本国民の負担なのは言うまでもありません。そもそも完成するのかさえ誰にもわかりません。このような不当で無益な米軍基地建設を中止すべきなのです。そして政府は「辺野古基地建設」と切り離して危険な普天間基地返還交渉に入るべきなのです。

 

■十二月二十日の本訴判決では、上記三つの争点が争われることになります。司法の反動化は安倍政権以来特に顕著です。判決の結果によっては、辺野古移設の行方が大きく左右される可能性があります。

しかしながら、沖縄、辺野古住民の長い闘いの間に、政治軍事情勢は大きく変化しています。それは、決して「台湾有事が迫ってきた」「台湾の有事は日本の有事だ」と言った故意に誇張された中国脅威論にあるのではありません。

むしろ問題は、日本の軍事化、対中国強硬論と先制攻撃を含む軍事力の倍増と言う、日本に固有の国内的な危機となっているのです。空母打撃軍編成による海外展開、日本版海兵隊の創設、攻撃的なスティルス戦闘機の大量購入、そしてさらに日米軍事同盟の下で進む全国基地一体化、統一的軍事戦略へと拡大されています。

 

戦争準備はなぜ開始されたのかworkers-net.net/w641.html#641cなど参照してください。

 

「中国が悪い」「北朝鮮が怖い」とか騒ぐ日本のネトウヨの世論誘導にひきずられいきた、と言う一面的なものでもないし、「日本は米国のポチ」「米国の圧力で軍拡が進んでいる」「そもそも米国の属国にすぎない」とか、一面的な話で終わらせてはなりません。日本政府・財界・官僚・自衛隊らの拡大する野望の背後を私たちがよく理解して反撃する必要があります。(了)

 

海の画像のようです

辺野古反対だけでは見えてこない日米同盟の本当の危うさ 

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From: 天木直人 <m00001@foomii.com>

 

 12月20日に、いよいよ沖縄の辺野古移設建設に関する「代執行訴訟」の判決が下される。

 

 つまり、軟弱地盤の改良工事を行うために国が行った設計変更の申請を沖縄が認めなかったために、国が沖縄に代わって工事を強行に承認する、その「代執行」を、玉城知事の沖縄が認めず、国と沖縄が真っ向から対立してきたのが代執行訴訟である。その訴訟の判決が、いよいよ12月20日に福岡高裁那覇支部で下されるのだ。

 

 その判決を前に、きょう12月18日の朝日が「専門家の見方」として、米ジョンズ・ホプキンス大学のショーン・ハーディング氏の見方を掲載している。

 ショーン・ハーディング氏は米海兵隊で在日米軍再編に関わった人物で、現在は同大学で高等国際関係大学院博士課程にあるという。 これ以上ない専門家だ。そのハーディング氏がはっきりこう語っている。

 

 2006年に日米両政府が合意した辺野古代替施設の現行案は、現在の米軍の戦略構想に合わず、時代遅れと言わざるを得ないと。

 

 喜べ、記縄!

 米国の当時の関係者が、ここまではっきり、辺野古移転を完全否定しているではないか。 そう、言いたいところだが、しかし、ハーディングはこう続けている。

 

 日本の基地は中国のミサイル脅威のために脆弱になった。米軍は、常駐する航空戦力を幅広い拠点に分散させる戦略に切り替えている。各地の米軍基地のほか、自衛隊基地、民間空港や港湾の使用もおそらく視野に入れていると。

 辺野古移設は条件を満たさない。滑走路が短すぎて、使用できる航空機が限られる。岸壁の大きさも十分ではなく、艦船の使用も限られる。

 

 なんだ、これは!? そして、さらにこう続ける。

 辺野古工事に巨額のコストをかけるが、(そんな金があったら)現在の米軍の分散戦略に合った他の空港基地や民間空港の改良に使う方がはるかに良い。沖縄の負担軽減にもつながる。日米両政府、沖縄県の三者で信頼関係を構築し、合意の道筋を探ることが最優先だと。まさしく、沖縄の本土化ではなく、日本全土が沖縄化するということだ。

 日本がこのまま日米同盟を最優先していくなら、日本中の自衛隊はもとより民間施設さえも米軍の戦争に使われる日本になるということだ。沖縄はいいかもしれないが日本全体が大変なことになる。そして日本の一部である沖縄も、その犠牲から免れるわけにはいかないのだ。とんでもないことが行われているということだ。

 

 政治家はもとより、官僚も、専門家も。メディアも、いま日本が置かれている安全保障環境を、ごまかすことなく、もっとはっきり、わかりやすく、国民に伝えるべきだ。20日に下される「代執行」判決を、単なる辺野古移設の是非に封じ込めてはいけない。日米両政府と沖縄の三者の問題にしてはいけない。日米両政府と日本国民の三者の問題なのだ。日本国民として、在日米軍をどう考えるか、米中対立の中にあって、日本の外交安保問題はどうあるべきか、その議論に発展させなくてはいけないのだ。

 

 そして、その時は今だ。今それをしなければ手遅れになる。

 

 自民党政権や岸田政権が続くか続かないかという問題より、はるかに重要な問題が今我々の前に突き付けられている。20日に下される代執行訴訟の判決の持つ意味はそういう事なのである(了)