【管理人の一言】

動物の世界には、様々な能力(自然適応)が観察される。ヒマラヤを超えて旅をする異常に発達した肺と翼をもつ鳥や、地中でくらし移動する虫もいる。1000㍍の深海でも生息できるものもいるし、酸素無しでも生息するバクテリアもいる。そうしたなかで「認知能力」が高い動物もいる。この発達によって、宇宙の始めや物理法則を理解しようとする動物(人間)もいる。

 この認知能力が、どのように成長したのかは、その適応・進化がどのようなものであったかを示すことでもある。

 哺乳類は全体として、知能が高いと言える。それは、基本として母子関係があり、家族関係を持つものもいる。このような集団的・社会的関係が「知恵」を必要とすると考えられてきた。同時に社会集団の大きな動物ほど知能の高まりを傾向的に示すこともできる。

 社会脳仮説は、前世紀に生まれた学説だ。しかし、その後今世紀の入り口に入るころロビン・ダンパーや澤口俊之が、サルや類人猿の集団の規模と脳の大きさ(前頭連合野)の比較をすることで、大きく前進したといえる。社会集団が大きくなると脳も大きくなる。(つまり、何らかの必要で社会の拡大が求められるほどに、脳の拡大も導かれるということ。)

 ダンパーは、この式から推論して、人間の異様に発達した脳の大きさは、150人の集団規模だとしている。これを「ダンパー数」という。人間の進化過程での基礎集団だと理解されている。

 その後、「クジラ類」(シャチやイルカも含む)でもその有意の関連は示された。ここからが、この下記の記事のテーマに移る。高度の知能は、裏を返せば大きく密度の高い「社会生活」を前提としているのだから、カラスたちの知能は、その土台としての社会性を研究することが重要となる。結構出ている「カラス本」にも、このような視点がなく、単に結果のみの「頭が良い」「スゴイ」ことを並べているのは興ざめに思う。もちろん、カラスは自然のもので観察が難しいのは理解できるが。道具をつくることのできるカレドニアガラスも、密林の中の生活で全貌はよくわからない。ワタリガラスはどうなのであろうか?

 

 

 

ワタリガラスの知能は大型の類人猿並みであることが明らかに

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<ドイツのオスナブリュック大学の研究による、ワタリガラス(ハシブトガラスよりも一回り大きい渡り鳥)には大型の類人猿並みの物理的・社会的な能力があることが明らかになった......>

 

ワタリガラスの社会は離合集散型(個体が群れたり離れたりする社会)であり、また同じつがいで長期間過ごす一夫一婦制であるという。同博士らは、そのため生存や生殖には協調や連携が非常に重要であることから、早い段階で物理的・社会的に高い認識能力を身に付けるのではないかと考えている。