1億人が医療保険を受けられない?コロナ蔓延の米国でオバマケア廃止の恐れ

【東京新聞】【ワシントン=金杉貴雄】米国で全国民の保険加入を目指した医療保険制度(オバマケア)の廃止の恐れが強まっている。トランプ大統領が連邦最高裁の新判事任命を強行すれば最高裁で保守派優位が決定的となり、過去の判決が覆る可能性が高まるからだ。大統領選で争う民主党のバイデン前副大統領は「既往症を持つ1億人以上が保険を適用されない恐れがある」と反発している。

 

トランプ大統領の納税額ついに判明⇨750ドルだった NYTのスクープに本人は「フェイクニュース!」

【ハフィントンポスト】
 

【wedge】

事業の破綻状況も明らかに

 同紙(ニューヨークタイムス)の調査チームはこれまでも大統領の脱税疑惑について報じてきたが、今回は11月3日の大統領選挙まで6週間を切った段階での報道。選挙に影響を与えかねないことを考えれば、確かな証拠とトランプ氏と徹底対決するという政治的意思が必要だ。同紙は記事の掲載に当たって、バケット編集局長自ら筆を振るい、報道の正当性を強調した。

 暴露された「事実」は衝撃的な内容だった。以下、ポイントを列挙してみよう。

  • トランプ氏は億万長者の贅沢な生活をしてきたが、同紙が調べた18年間のうち、11年間は所得税を納めていない。大統領に当選した2016年と就任1年目の17年に支払った納税額はわずか760ドルだった。
  • 同氏が収めた税金は18年間で総額9500万ドルだが、2010年から還付金として利子を含め7290万ドルを受け取った。内国歳入庁(IRS)は現在、この還付金支払いが適正だったか、脱税はなかったかを調査中で、仮に不当だったと判断されれば、同氏は1億ドル以上を支払わなければならない。
  • トランプ氏が税金の支払いを免れてきたのは同氏の所有するトランプ・オーガニゼーションの傘下企業が巨額の赤字を出していることが理由だ。特に南部フロリダ州のゴルフリゾートが12年から18年の間に1億6000万ドルの損失を出すなど経営するゴルフ場で3億ドルを超える赤字を計上した。
  • トランプ氏の利益相反行動も問題だ。同氏が好んで使うフロリダ州のマール・ア・ラーゴの別荘は大統領就任以来、新規会員権販売などで年間500万ドルも売り上げが増えた。マイアミのゴルフリゾートは屋根ふき業界が150万ドルも使ったが、その時期は、業界がホワイトハウスに事業に関する規制を緩和するよう求めていた時と一致する。
  • 同氏には、今後4年間のうちに返済期限の来る借入金が3億ドル以上ある。
  • 事業の経営悪化を申告して税金逃れをする一方、豪華な邸宅や自家用機など贅沢な暮らしを続け、テレビ出演用のヘアスタイルのため7万ドルも支出した。
  • 外国や利害関係者らから知られていた以上の献金を受け取っていた。テレビのリアリティ番組出演で4億2700万ドルの現金を受け取り、ゴルフ場やリゾートの買収資金に充てていた。

「税金はいっぱい払ってきた」とトランプ氏

 トランプ大統領は同紙が報道した直後に急きょ会見を開き、否定に追われた。大統領は「フェイクニュース」と報道を非難する一方、「所得税をいっぱい払ってきた」と強調。IRSの監査が完了したら、申告書を公表すると述べた。だが、大統領はこれまでもこの約束を繰り返してきたが、果たされてはいない。