【管理人の一言】

コロナ禍は、低迷してきた実体経済にさらに深刻な打撃を与えた。

しかし、過剰貨幣資本はさらに勢いを増しつつ金融市場に押しかけつつある。三月には世界的な株価の暴落があったのにである。

経済の停滞が、生み出す過剰貨幣資本の圧力があり、もう一つの理由は先進国諸国家政府=中央銀行が、クレジットの大量購入の姿勢を見せて信用制度の動揺を支える強硬姿勢を見せたからである。もちろん、未曽有の景気後退が進行しているのだからリスクがないわけはない。しかし、投機的な資金はIT関連企業の株価を大いに押し上げ、彼らの(すでに億万長者である)創業者たちの金融資産を膨らませてやったということである。

 

他方で政府の経済政策・金融政策は、最下層の非正規労働者たち低所得者そして失業者を助けるものではない。救済金、一時金は糊口をしのぐものであっても彼らの生活の再建ではない。このような時代こそ政治の姿勢がどこを向いているのかが明確になる。さらに指摘すれば、金融資産家の救済や繁栄は、労働者階級の貧困を未来において固定するものである。二重に許しがたいといわねばならない。

 

 

 

コロナ禍で“ぼろ儲け”の億万長者と困窮する労働者 格差大国にみる悲惨な現実

 

 

 

Facebookのザッカーバーグに至っては、63%も資産が増え、891億ドルになっている。(金融投資家)バフェットは6%増の715億ドルだ。いずれもとんでもない資産であることは間違いない。億万長者を見ると、全体で資産は14週間で6280億ドルも膨れ上がったという。

 では、なぜそんなに資産が増えたのか。シンプルな説明は、コロナ禍でIT関連製品の需要が増えたり、SNSの利用頻度が増えたりした、ということがある。
 

マイノリティーほど深刻な失業率

米国では現在、マイノリティーを中心に失業率が深刻になっている。例えば5月には、黒人の失業率は16.8%、中南米系は17.6%、アジア系は15%で、白人の12.4%よりも軒並み高かった。新型コロナの感染が拡大してから、少なくとも4500万人が失業手当の申請をしている。

 

黒人の新型コロナによる死亡率は3倍

 米疾病管理予防センター(CDC)のデータでは、新型コロナは黒人や中南米系に偏ってダメージを与えており、白人よりも入院率は4.5%も高い。もともと医療費がとにかく高いことで知られる米国で、貧困層は医療費のための保険などには入っておらず、支払いもできないために病院にも行けない。多くの人が健康診断をしていないばかりか、例えば黒人は肥満率が高く、糖尿病や高血圧など基礎疾患を持つ人も多い。そのせいで、新型コロナによる黒人の死亡率は他の人種よりも3倍高いという。・・・・