朝鮮戦争「終戦宣言」や日ロ平和条約締結が 安倍政権の痛打となる理由 | ワーカーズ ブログ   

     

    トランプ大統領「米国、世界警察である必要ない。在韓米軍もいずれは分からない」

    【朝鮮中央日報】

    トランプ米国大統領が3日、「在韓米軍撤退の計画もなく議論したこともない」とし、「もしかしたら、いずれは。誰にも分からない」と話した。トランプ大統領はシリア・アフガニスタン軍撤退を説明しつつ「我々が世界警察である必要はない」とも話した。国防費縮小のための海外米軍縮小、トランプ式新孤立主義を押し進める意思を明確にしたわけだ。トランプ大統領は同日、第2回朝米首脳会談で「我々が合意する可能性が非常に高い」とし、「金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は北朝鮮を途方もない経済大国にする機会を持っている」と話した。・・・

    第2回首脳会談で北朝鮮・寧辺(ヨンビョン)およびウラニウム濃縮施設など核物質製造施設の優先的廃棄と韓国との終戦宣言の「ビッグディール」の可能性が提起されている状況だ。先立ってスティーブン・ビーガン米国務部特別代表は先月31日のスタンフォード大学での講演で「金委員長が寧辺だけでなくプルトニウム・ウラニウム濃縮施設全体の廃棄を約束した」とし、「トランプ大統領は70年間の韓国戦争(朝鮮戦争)の終息と不可侵を宣言する準備ができている」と話した。核製造施設の廃棄に続き核ミサイル・プログラムの完全な申告と主要施設査察、そして完全な核兵器廃棄につながる非核化ロードマップも提示した。・・・・

    日本にも影響及ぶ朝鮮戦争「終戦宣言」の現実味

    トランプ大統領はそのカードを用意している

    【東洋経済オンライン】2/4

     

     

    〔ここからコメント〕

    東洋経済オンラインの記事は、朝鮮戦争休戦の時期の昭和天皇の「危惧の念」を引用している。時代を超えて、この「危惧」は安倍政権のものでもあるだろう。

     

    「朝鮮戦争の休戦や国際的な緊張緩和が、日本におけるアメリカ軍のプレゼンスにかかわる日本人の世論にどのような影響をもたらすか憂慮している」 「日本の一部からは、日本の領土からアメリカ軍の撤退を求める圧力が高まるであろうが、こうしたことは不幸なことであり、日本の安全保障にとってアメリカ軍が引き続き駐留することは絶対に必要なものと確信している」(いずれも『昭和天皇の戦後日本〈憲法・安保体制〉にいたる道』豊下楢彦著、岩波書店)・・・。

    休戦を好ましからぬこと・・と考え、大量の戦死者のことを無視するなんとドライな「象徴」天皇ではないか。あきれ果てるとはこのことだ。さて同様に、日米軍事同盟を、前例のないレベルにまで引き上げた安倍政権としては、これは認められないということになる。安倍政権は東アジアでの新たな和平への動き(大国同士の駆け引きの一部でしかないのだが・・)を許すことはできないだろう。それは、安倍政治を支えている反動的勢力の枠組みとは対立せざるを得ないからだ。彼らは、敗戦体制としてのポツダム体制、東京裁判その他を重要な点で受け入れていない。朝鮮戦争の終戦宣言は(それが実現できたとするなら)日本抜きであり、米・中・北朝鮮そして国連さらに戦場でもあり大軍を投入した韓国が当事者として参加することになるだろうからである。これは、戦後体制の再確認であり、安倍首相らの一番見たくないものである。どうじに、昭和天皇の抱いた「危惧」と同様に日米軍事同盟不要論がいやがうえにでも高まり、反米・反基地意識が日本で強まるからである。

     

    他方では、日ロ平和条約をめぐりロシア政府の最近の言説で明確に押し出されたのが、「日本は戦後の国境を認めよ」「大戦の結果をまず受け入れよ」それが平和条約の前提だということだ。つまり、「北方領土」はロシア領土だと認めよ、ということだ。そのうえでしか平和条約を締結できないということになる(さらにそのうえで歯舞色丹を割譲やら信託統治やらで日本に引き渡すことで交渉する・・と)。これでは、戦後(敗戦)の結果を否定する安倍政治のもとでは日ロ平和条約交渉は不可能に近いことになる。安倍政治が、国内での格差貧困を増幅しているばかりではなく、東アジアでも和平を意図的に遠ざけ国際緊張と危機をあおり続ける唯一の反動政権となっている。この構図はワイマール体制下のドイツ=ナチと酷似しているのは偶然ではない。(六)